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警察だけでは防げない―ストーカーを「無害化」するための治療を

8/21(水) 15:03配信

nippon.com

20年にわたりストーカーたちと向き合ってきたカウンセラーが、「ストーカー規制法」の限界を指摘し、ストーキングはカウンセリングや治療によってやめさせることができると訴える。

「桶川ストーカー殺人事件」からの20年

日本でストーカー事件の深刻さが広く認識されたのは「桶川ストーカー殺人事件」だ。1999年10月、ストーカー被害に苦しんでいた女子大学生が、埼玉県のJR桶川駅前で刺殺された。事前に被害者から相談を受けていた県警上尾署が対応を怠っていたことが判明し、署員の処分に発展した。この事件を契機に2000年、「ストーカー禁止法」が成立。待ち伏せ、押しかけなど「つきまとい等の行為」を繰り返す加害者に警察が警告を発し、悪質な場合には逮捕すると定めた。

だが、桶川事件以降も深刻なストーカー被害は後を絶たず、警察の対応が批判されてきた。12年11月には、神奈川県逗子市で33歳の女性が元交際相手の男に刺殺され、男は直後に自殺。この事件では、加害者が女性に「殺すぞ」などと書いた脅迫メールを大量に送り付けていたことが注目された。13年10月には東京都三鷹市の高校3年の女子学生が、自宅に侵入していた元交際相手の男に刺殺された。当時21歳の加害者がインターネットに投稿していた被害者の画像も「リベンジポルノ」として問題になった。16年5月には東京都小金井市のライブハウスで女子大生の歌手がファンに刃物で刺され、重傷を負った。攻撃性を増すツイッターへの書き込みについて、「殺されるかもしれない」と警察に相談していたが、未然に防ぐことができなかった。

「逗子事件」「小金井事件」を受けて、13年、16年の規制法改正では電子メールやSNSの送信も「つきまとい等」の行為に含まれるようになるなど、法制度や警察の対応は改善されてきている。だが、罰則は最長2年の懲役または200万円以下の罰金にすぎない。たとえ加害者が服役したとしても、出所後にまたつきまとわれるかもしれないと、被害者は一生おびえ続けることになる。

「ストーカー規制法は『初犯防止』を強く意識した法律なので、警告は抑止力になります」とカウンセラーの小早川明子さん(NPO法人「ヒューマニティ」理事)は言う。「でも、いったんストーカーが脅迫、傷害などの犯罪を起こしてしまった場合、迅速に逮捕して再犯防止策をしっかりと講じるべきです」

現在の法制度や警察の対応には限界がある。小早川さんは20年間にわたり、被害者の代わりにストーキング加害者と向き合う活動をしてきた。これまで500人以上の加害者にカウンセリングを行いながら、ストーカーを「無害化」するための方策を模索し続けてきた。

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最終更新:8/21(水) 15:03
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