ここから本文です

登山に飽きた・・・と思ったときは? 「行きたくなったら、また行けば良い」

8/21(水) 15:30配信

YAMAKEI ONLINE(ヤマケイオンライン)

登山をはじめて10年少々、最近は少し飽きてきました。

質問:
登山をはじめて10年少々、最近は少し飽きてきました。はじめにアルプスに行って、いい山を登ったせいもあるかもしれませんが、近郊の山だと景色などに物足りなさを感じます。

クライミングや雪山までは・・・、と思っているせいもあるかもしれません。また、若い頃に一緒に登った人がどんどん離れているのもあるかもしれません。かといって、なかなか時間を考えるとアルプスには、そう行く機会はありません。

近郊の山に登っても、違う気分で登る方法とか、楽しみ方ってありますか? また、登山に飽きたことってあります?

山での非日常的な光景

回答:
僕がはじめてアルプスと出会ったのは、南アルプスの鳳凰三山でした。夜行列車で、ほとんど眠れないまま甲府駅で降りて、超早朝のバスを乗り継ぎ、夜叉神ノ森から歩きだしました。初めて経験する重荷に押しつぶされそうになりながら夜叉神峠に辿り着き、サルオガセのさがる森を抜けて、峠の展望台に立った瞬間に目に入った白峰三山の雄姿。寝不足と重荷にヨタヨタだった身体から、思わず「オーッ!」と小さな歓声がでました。

谷間に残る白い雪。美しく斜面に明るく浮かびあがる緑。山頂に向けて厳しく屹立する岩肌。これがアルプスか・・・。これが3000m峰か。これが「本物の山」なんだ。同時に、この本物の山に到達した自分を誇りに感じました。

誤解だろうと、山の本質をわかっていなかったと言われようと、この気持ちは間違いもない事実です。

「はじめにアルプスに行って、いい山を登ったせい・・・」。そうか、最初に日本アルプスの素晴らしい光景に出会ってしまったんですね。

もっと強烈に山から衝撃を受けた経験は、はじめて「氷河のある高山」に行ったときです。中央アジア・パミールの7000m峰が、その地でした。当時、まだソ連のあったときで、新潟~ハバロフスク~ノボシビルスク~オーシと延々と旅をしてキルギスタン(当時はキルギス社会主義共和国)の町に着。そこから、砂漠の様な荒涼とした大地をジープで走り抜け、ベースキャンプのあるアチクタシという氷河湖と草原の広がる場所に着きました。

当時のソ連は、開放した登山基地に、大食堂、医療機関、サウナまで作って、世界の登山家に便宜を図っていました。ここで高所順応のため数日滞在をした後、峠を越えて、初めて目指す7134mの高峰と出会いました。

利根川の幅くらいある巨大な氷の川。随所に口を空けるクレバス。モレーンの上に居並ぶ7000mの山々。巨大氷河は、凄ましいものでした。そしてこの時、思いました。「この地に立つために、僕は登山をしてきたんだ」と。

このときの登山は、なかなか厳しいもので、第二キャンプがセラックの崩壊で全滅し、そこに居た43名が一瞬で吹っ飛ばされて死亡しました。僕たちが到着したのは、その事故の後で、そこには人影ひとつない、氷塔の林立する世界が待っていました。

1/2ページ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事