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岩出流「脱体育会系」で培う人間力。帝京ラグビーが根付く教え子のW杯。

8/21(水) 11:51配信

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 ラグビーワールドカップについて聞かれると、帝京大学の岩出雅之監督は「私はファン目線です」と控え目な笑みを浮かべた。

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 「スタッフの人たちにかかるプレッシャーを考えたら、チームの内側を知らない自分が余計なことは言えません。ネガティブなことは一切考えず、ビールを飲みながら応援します」

 もちろん期待はある。この国のラグビーを下支えするひとりとして、W杯の成功を願わずにいられないのだ。

 「日本のラグビーに関わっている方、応援をしてくれている方、これまで興味のなかった方に、言葉では表現できないダイナミックなプレーを目の前で見てもらえる。少年たちに夢を与えてくれると思いますし、高校や大学でラグビーをやっている選手は、本物の姿を見ることでエネルギーを掻き立てられるでしょう。あとはいいトリガーを大会中に引いて、一気に色々なものがつながって最高の大会になってほしい」

ジャパンに名を連ねる帝京大OB。

 岩出がいう「トリガー」を引くのは、他でもない彼の教え子たちになるかもしれない。7月下旬から8月10日にかけてパシフィックネーションズカップを戦った日本代表には、帝京大学ラグビー部のOBが8人も含まれていた。

 堀江翔太は3大会連続出場を、ツイヘンドリックは2大会連続出場を目ざす。中村亮土、流大、坂手淳史、姫野和樹、松田力也、堀越康介は、初のW杯スコッド入りへアピールを続けてきた。大学別で日本代表の最大勢力である。

 「自分が何をやらなきゃいけないのか、彼らは分かっているでしょう。プレッシャーや責任も感じていると思いますが、そういう立場だからこそ味わえる楽しさもきっとある。一生に何度も経験できるものではないでしょうから、メンバーが決まるまでのプロセスも含めて、すべてを楽しんでほしいですね」

人間力を鍛えた「脱体育会系」。

 岩出が統べる帝京大学は、2009年から大学選手権を9連覇してきた。日本代表の最大勢力となるのも必然的だが、そもそも帝京大OBは人間力が高い。

 33歳の堀江は日本代表のキャプテンを務めただけでなく、スーパーラグビーに参戦したサンウルブズで初代キャプテンを任された。9月4日に27歳になる流は、所属するサントリーで加入2年目からキャプテンとなり、ジェイミー・ジョセフ率いる現日本代表でもリーダー格のひとりだ。また、日本代表の底上げを促している25歳の姫野和樹は、トヨタ入団1年目にキャプテンに指名された。

 岩出の指導は「脱体育会系」と言われる。雑用に率先して動く上級生を見て、下級生はラグビー部員としての自覚に目覚める。組織への忠誠心が、横方向にも縦方向にもつながっていく。チーム内の風通しが抜群にいいのだ。

 岩出は「失敗もしてきていまがありますけどね」と、遠慮がちに切り出す。

 「脱体育会系とか先輩が雑務をするとかがすべてではなくて、そういう先輩の姿を見て後輩は感じるところがあるだろうし、いまの学生は昔のようにタテの関係でやると潰れちゃう。潰さないためにも最初は余裕を持たせて、自己容認させる。自分のことを知る時間を下級生のうちに持たせながら、少しずつ負担を増やしていくというかね。目の前にいる上級生にいい見本を見せてもらうのが、下級生には一番分かりやすいので」

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最終更新:8/21(水) 11:51
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