ここから本文です

米国政府はなぜ、 Amazon の解体を望むのか?

8/22(木) 8:51配信

DIGIDAY[日本版]

疑問を最初に呈したのは?

トランプ米大統領は反Amazonをもっとも声高に訴えているひとりと言える。長年にわたって同社を威嚇する発言やツイートをくり返しており、Amazonは米国郵政公社や地方の小売業者に損害を与えていると公言している。2018年11月には、詳細については明かさなかったものの、政府は独禁法違反での提訴を「極めて真剣に」考えているとまで述べた。

かたや民主党側の急先鋒はウォーレン議員だ。巨大テック企業の解体をもっとも積極的かつ具体的に訴えており、今年前半にはAmazon、Google、Facebookを分割する法令制定の必要性を公言した。「米大手テック企業は有益な商品を提供しているが、我々のデジタル生活に対して巨大な影響力を行使している(中略)。半数近くのeコマースがAmazonを経由している」と、議員はMediumに書き、さらにこう述べている。「Amazonは、Amazonマーケットプレイス(Marketplace)で販売されている商品を模倣し、それを自社ブランド品として販売することで、小企業をまさに押しつぶしている」。

ただ、両党から声が上がっているとはいえ、独禁法違反の立証は大仕事だ。19世紀後半、一企業が自由競争を排除し、最終的に消費者に害を及ぼすほど巨大化することを防ぐため、米政府は独占禁止法を導入した。だが、Amazonのような企業に対しては、この法で縛りたくとも容易には縛れない事情がある。価格のつり上げに直接結びつく行為は、表面上、いまのところ見当たらない。eコマース界の巨人を目指す途上において、Amazonは間違いなく他企業に打撃を与えているが、消費者に対しては、この限りではない。つまり、独禁法違反での提訴は、少なくとも従来の論理では、極めて難しいということになる。現在の支配的企業──Amazon、Google、Facebook──は、たとえば1890年頃の(米独禁法制定のきっかけとなった)スタンダード・オイル社のそれとは異なる、新種の巨大な市場力を有しており、この点が独禁法専門家の頭を大いに悩ませている。

そのため、独禁法そのものの見直しを検討する者もいる。論文『Amazonのアンチトラスト・パラドクス(Amazon’s Antitrust Paradox)』の執筆者カーン氏は、独占的企業の分析に使用される既存の枠組みが現行の商慣行にはもはや適合しない点を指摘した。そのうえで氏は、独占的傾向を示すプラットフォーム──たとえば、Amazon──はこれまでとは異なる、目に見えないかたちで競合他社に打撃を与えていると論じる。独占企業は市場を支配し、それが短期的な価格高騰につながり、最終的に消費者に損害を与える、というのが従来の形だ。これに対し、テック企業は組織的にあらゆる関連産業の競合他社を凌ぎ、新規の手法で経済的支配力を行使している。

2/4ページ

最終更新:8/22(木) 8:51
DIGIDAY[日本版]

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事