ここから本文です

米国政府はなぜ、 Amazon の解体を望むのか?

8/22(木) 8:51配信

DIGIDAY[日本版]

独禁法違反以外に手はないのか?

Amazonへの苦情の多くはしかし、独禁法違反の立証には不十分だと見る学者もいる。たとえばシンガー氏は「簡潔に言えば、独禁法とは一企業が門戸を閉ざすことを嫌い、自社が提供するもの(この場合は商品)の利益のための差別行為を禁じるものである」と書き、Amazonの場合は自身の商品を自身のプラットフォームで優遇しているため、反競争的行為防止を訴える者にしてみれば、悪夢のような存在だと指摘している。

独禁法に詳しい学者ダイナ・スリニヴァサーン氏もこれに同意する。「Amazonの行為が現行の経済理論において実質的に不適切か否かは、私にも定かでない。それよりも、Googleがデジタル広告市場で行なっていることや、Facebookがソーシャルメディア市場で行なっていることのほうが、独禁法違反の調査対象となる可能性が高い」。

スレイマン氏が指摘するとおり、Amazonの反競争的行為はひとつに絞れない。つまり、翻ってみれば、採るべき道は多数あるとも考えられる。価格統制以外にも、フェイクレビューやAmazon’s Choiceの不透明性に関するさまざまな問題があり、これらは同社が特定商品を優遇している可能性を示唆している。「きわめて深刻な問題が複数存在する」と、スレイマン氏。「これらの問題をすべて独禁法違反論だけで解決できるか否かは定かでない」。

その代わり、パブリック・ナリッジ──および米立法府──はこれら巨大テック企業を標的にする新たな法令制定の必要性を訴えている。たとえば、プラットフォームも所有する企業が自社商品を優遇することを禁ずる被差別的基準の制定を求める者もいる。Amazonの場合、これはつまり、マーケットプレイスで自社アイテムを優遇できなくなることを意味する。また、Googleも自社商品を優遇する検索結果を出せなくなる。「これはたんにプラットフォーム上の競争の確保に留まらない」と、スレイマン氏は続ける。「プラットフォーム上の競争が可能な状態の確保も意味する」。

シンガー氏も考えを同じくし、「差別云々という切り口で独禁法違反を訴えても、負け戦の可能性が高い。より優れた対処法には、独禁法とは別の非差別的法令の利用が有効と考える」と書いている。これはつまり、反独禁法的論理でAmazonに勝利するには、他プラットフォームのセラーに対する彼らの価格統制術に焦点を合わせるのが有効な手段であり、逆に言えば、Amazonのプラットフォームそのものを打ち砕くには、それとはまた別の有効な法令を探すしかない、ということになる。

まとめると、Amazonがベンダー、小売競合他社、消費者を潜在的に締めつけ、苦しめるあらゆる手法が次々に明るみに出ていることに疑いの余地はない。批評家勢も根本的なレベルでの対処が必要な複数の問題が存在すると述べている。「前進のための最善策を採るには、我々に使えるあらゆるツールを利用するしかないと考える」と、スレイマン氏は述べている。

Cale Guthrie Weissman(原文 / 訳:SI Japan)

編集部

4/4ページ

最終更新:8/22(木) 8:51
DIGIDAY[日本版]

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事