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ヤマビル対策、試してみてわかったこと。リュックを伝って上半身に!?

8/22(木) 17:10配信

YAMAKEI ONLINE(ヤマケイオンライン)

登山ガイド仲間と共に「ヤマビル対策研究会」を立ち上げ、群馬県・妙義山にてヤマビルの生態を観察してきました。その生態を知るために、敢えてヤマビルに貴重な血液を吸わせることも試みましたが、その後は対策法として「吸われたときに」「吸われないために」について、いろいろ試してみました。

雨天の多い時期に群馬県・裏妙義を歩くと、たくさんのヤマビルに遭遇します。あまりにたくさんヤマビルがいるので、どのような装備が有効なのか、試しやすい環境となりました。

まずはヒルが肌に付いているときに落とすための対策について検証しました。今回用意したのは、1.市販されているヤマビル忌避剤、2.塩(結晶/食塩水)、3.ハッカ系防虫スプレー、4.全身薬用ローション、5.エアゾール式鎮痛消炎剤などです。

これらの利用で、ヤマビルが死亡したかどうかはともかくとして、どれもヤマビルを肌から落とすことに成功。何を使っても効果があることがわかりました。

これらの商品の中で、最も安上がりで効果抜群だったのは、2.塩の結晶と飽和食塩水(もうこれ以上溶けない状態の塩水)でした。同じ食塩水でも濃度が薄いものは効果が小さく、結晶が残るかどうかというくらい濃いものは、絶命するまでの時間は早かったです。

いずれにしても、肌に喰い付いたヤマビルを無理やり引っ張って千切ってしまうと、残った口の部分から化膿してしまう可能性があります。きれいに肌から落とすには、こうした何らかの商品を用意すべきでしょう。

リュックに飛びつくヤマビル、むやみに地面に置かないこと!

続いて、ヤマビルに吸われないように防御するための対策を確認してみましょう。前回にも説明したように、ヤマビルは通常、地面(落葉の下など)で生息していて、動物が呼吸する際に発する二酸化炭素に反応して寄ってきます。

そこで、どの程度の二酸化酸素に反応するのか調べてみるために、ヤマビルの巣窟で、息を吹き付けたロープを引きずりながら歩いてみました。すると、たまたまヒルの進行方向にロープがあって付いたケースはあったものの、ロープそのものには無関心でした。

一方、同じように無機質なはずのザックには飛びつくことがわかりました。人間に寄ってきたヤマビルは、地面に置いたザックにも張り付くのです。このまま気づかずザックを背負ってしまうと、気づかないうちに上半身に入られてしまうでしょう。

このため、我々ガイド仲間では、ザックを地面に置かないように気を配っている人が多いです。ヤマビルシーズンにヤマビルエリアに入山する際には、休憩の際には細引きを木に巻き付け、ザックをカラビナに掛けて吊るしている人もいます。

また、登山靴にヒルが寄ってこない方法にもいくつか実験を行いました。ガイド仲間が実践している「靴の足首部分に煮込んだ食塩水に浸した布を巻いておく」方法は、ヤマビルが布を突破して上がることはできませんでした。靴全体に食塩水を掛けておく方法もありますが、これは靴の傷みが早くなるのでオススメできません。「食塩水に浸した布」は有効な方法となることを改めて確認できました。

今回の調査では、ヤマビルを意識しながら歩いていたため、靴の中に侵入されることは少なかったですが、実際の登山ではいつの間にかヤマビルにやられてしまうことが普通です。

以前、私が実践している方法として紹介した「厚手のパンテイ・ストッキングを着用する」方法は、侵入されても喰われにくいのでオススメです。

私が調査などでヤマビルが生息する山へ入山するときは、パンストをはき、足首に飽和食塩水に浸したバンドを巻く。それでも吸われたときは飽和食塩水やボデイローションを掛け、ハサミでちょん切るというスタイルで行っています。

もっとも、いちばん効果的なのは、身も蓋もない話ですが「ヤマビルの季節はヤマビルの出る山域へ行かない」ことなのかもしれません・・・。


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上村博道
気象予報士の資格をもつ登山ガイド。 国内では北海道・積雪期日高山脈全山縦走、積雪期知床半島縦走など積雪期の長期山行を行う。海外では、エベレスト8848m、デナリ 6194m、アコンカグア6960mに登頂。
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上村博道 登山ガイド

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