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なぜ、スポーツ振興の担い手となる中央競技団体の職員の雇用は「縁故・知人の紹介」が最も多いのか?

8/22(木) 7:20配信

@DIME

いよいよ来年に迫った2020年東京オリンピック・パラリンピック。

この歴史的大イベントの開催によって、日本国内におけるスポーツ熱の高まりが予想されるが、スポーツ振興の直接の担い手である競技団体(種目団体)を統轄する中央競技団体の現状はどのようになっているのだろうか?

そこで今回、公益財団法人・笹川スポーツ財団による、日本オリンピック委員会、日本スポーツ協会、日本ワールドゲームズ協会に加盟、準加盟している中央競技団体89団体を対象にした2018年度の調査結果が発表されたので、紹介していきたい。

役職員・および評議員……中央競技団体、男性役員1,200人、女性役員187人で、役員の9割弱が依然男性
団体の役職員および評議員について、「理事(常勤)」「理事(非常勤)」「監事」「評議員」「正規雇用者」「契約/嘱託職員」「出向」「派遣職員」「アルバイト」「インターン」および「その他」の分類で性別に人数を尋ねる調査が行われた。※グラフありの元記事は下記同タイトルをクリックすることで見ることができます

その結果、63団体の役職員および評議員の合計は3,652人であり、このうち「理事(常勤)」「理事(非常勤)」「監事」(3役職を合わせて以下、役員とする)が1,387人、「評議員」が1,363人、役員および評議員を除いた職員等は902人ということが明らかになった(表1)。

表1 中央競技団体の雇用形態別人数(n=63)



役員の人数を全体(3,652人)に対する割合でみると、理事(常勤)が3.5%、理事(非常勤)が30.6%、監事が3.8%と、理事(非常勤)の割合が飛び抜けて高く、多くの理事(非常勤)が存在していることがわかる。

性別にみると、男性役員の合計が1,200人であるのに対して女性役員は187人と、役員の87%が男性で占められている。

また、63団体のうち7団体(11.1%)では女性役員が存在せず、36団体(57.1%)では女性役員が2人以下であった。

なお、分析対象としている団体が異なるため単純な比較は難しいが、女性役員が存在しない団体の割合は2010年度44.3%、2012年度31.0%、2014年度19.1%、2016年度18.0%、2018年度11.1%と減少傾向にある。

役員・評議員を除いた職員等の数は63団体で902人であり、1団体あたりの平均は14.3人。回答団体が異なるため単純な比較は難しいが、2016年度調査の職員等858人、平均13.8人から総数で44人、平均で0.5人の増加がみられた。人数の分布は0人から217人までその規模はさまざまだ。



収入規模……対象団体数は2016年調査時62から2018年71に増え、総収入合計は約171億円(29.0%)増加
表2には、中央競技団体の総収入に関する基本統計量が示されている。71団体の総収入の合計は761億4,700万円、平均値は10億7,200万円、中央値は3億3,500万円である。

最大値の団体を除いた場合の平均値は7億5,300万円となる。総収入の最大値は約234億200万円と突出した規模になっており、平均値を大きく引き上げていることが明らかに。また、総収入の最小値は、1,400万円である。

過去の調査結果と並べると、分析対象団体が同一でない点に留意が必要であるものの、対象団体数が2012年度の71、2014年度の66、2016年度の62へと減少する中においても総収入合計は増加傾向を維持している(平均値も同様)。

今年度調査は、対象団体数が2012年度調査以来最多となったこともあり、総収入の合計は約171億円(29.0%)の大幅な増加となった。総収入の平均値では約1.2億円の増加があり、平均値の成長率は12.6%を示した。

表2 中央競技団体の収入に関する基本統計量



採用状況……中途採用された者の雇用形態は「正規」が49人、「契約/嘱託」が28人
採用活動を「行った」と回答した39団体に対して、年度別(2017年度または2018年度)および採用形態別(新卒または中途)に採用状況をたずね、2017年度・2018年度の中途採用の結果が表3に示された。

2018年度の中途採用を行った団体は27団体であり、採用活動を行った理由(複数回答)は、「退職等による欠員があったため」15団体、「継続事業の実施および拡大または新規事業の展開のため」12団体が多く、「定期採用を実施しているため」「組織の再編成のため」が1~2団体となった。

求人募集の方法(複数回答)は、「縁故・知人の紹介」が16団体と最も多く、「人材紹介事業者」5団体、「求人媒体(ウェブサイト・紙媒体)」4団体、「団体ウェブサイト」「ハローワーク」3団体と続いている。

採用者の雇用形態は「正規」49人、「契約/嘱託」28人であり、配属先は「事務局長」5人、「管理部門」20人、「事業部門」46人、「事業管理兼務」6人となった。また、採用人数を回答した26団体の合計採用者は78人で、1団体あたり3.0人となる。なお、最も多くの人数を採用した団体(31人)を除けば、1団体あたり1.9人である。

表3 2017年度および2018年度の中央競技団体の採用状況(中途採用)(n=39)





研究担当者コメント
オリンピック開催が来年に迫るなか、スポーツ団体におけるビジネス領域が拡大する可能性を秘めていることや、中央競技団体への強化費の削減が想定されるため一層の自立運営が望まれることなどから、スポーツ団体の持続的な経営を見据えた経営力強化が求められている。

それを支える資源は他ならぬ人材と財源となる。スポーツ庁では、その実現に向けた経営人材の育成を図る事業が展開され、中央競技団体においても副業・兼業などの制度により人材流入を図る取り組みが進められている。

人材に関しては、職員等の人数を2016年度と比較すると40人程度の増加に留まっているが、過去2年度の新卒・中途採用により毎年90人規模での採用実績が確認できたことから、人材の流動性が認められる。また、このうち両年度とも約9割が職務経験のある中途採用であるため、団体の課題にいち早く対応できる即戦力を採用していることもわかる。

予算調査の結果を見ると、過去5回の調査で最大の761億円の総収入を示した。予算ベースではあるものの、前回調査から約171億円の大幅な増加が確認された。

ただし、各競技団体が総じて予算規模が大きくなっている一方で、特にこの現象を引き起こしているのは予算規模が10億円以上の17団体であることが実態である。

本調査を通じ、財務状況の全体的な傾向や規模別の特徴の明示が可能になるため、将来的な経営力強化へ向けた施策を検討する基礎資料としての活用を期待したい。

【調査概要】
・調査名:中央競技団体現況調査
・調査対象:(公財)日本オリンピック委員会、(公財)日本スポーツ協会、(特非)日本ワールドゲームズ協会に加盟、準加盟している中央競技団体89団体
・調査項目:(1)競技人口と登録制度について (2)役職員数について (3)採用状況について (4)役職員個人について (5)収支予算について
・調査期間:2019年1月~2月
・研究主体:公益財団法人 笹川スポーツ財団
・調査協力:(公財)日本オリンピック委員会、(公財)日本スポーツ協会、(特非)日本ワールドゲームズ協会
・調査メンバー:
 武藤 泰明 早稲田大学スポーツ科学学術院 教授
 三浦 一輝 常葉大学法学部 准教授
 吉田 智彦 笹川スポーツ財団スポーツ政策研究所 主任研究員
 藤原 直幸            〃
 ※肩書は調査当時のもの

出典元:公益財団法人笹川スポーツ財団

構成/こじへい

@DIME

最終更新:8/22(木) 7:20
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