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日韓関係悪化:経済分野への波及で新しい局面へ

8/22(木) 15:01配信

nippon.com

高安 雄一

日本の輸出管理運用見直しで、さらに悪化する日韓関係。筆者は、政治分野と経済分野の問題がリンクしたことで、両国関係が「新局面に入った」と位置づけ、経済面でのつながりが「緩やかではあるが弱まっていく」と指摘する。

新局面を迎えた日韓問題

7月1日、日本は韓国向けの輸出管理の運用を見直すことを公表したが(以下、「輸出管理適正化」とする)、筆者はこれによって日韓関係が新たな局面に入ったと考える。これまでの日韓関係は、政治分野と経済分野の問題がリンクしてこなかった。

近年の日韓関係は悪化の一途をたどっているが、問題は政治分野にとどまっており、経済分野での日韓関係に深刻な影響を及ぼすことはなかった。経済分野で日韓の紛争が起こることも珍しくなかったが、どれも政治問題が波及したものではなかった。

しかし今回の輸出管理適正化をきっかけに、政治分野での日韓関係悪化が経済分野に波及した。さらに、政治分野での関係悪化、経済分野での関係悪化が互いに原因となり、それぞれの関係がより悪化するといった負のスパイラルの状況に陥ってしまった。

珍しくはなかった経済分野での日韓紛争

これまでも経済分野で日本と韓国の間が無風であったわけではない。貿易に関して日韓間で紛争が発生してWTOの紛争処理手続が現在も継続している案件は3つあり、すべて日本が申し立てたものである。そのうち2件は韓国のアンチ・ダンピング(AD)課税措置に関する紛争であり、AD課税措置が課された製品は、空気圧伝送用バルブ、ステンレス棒鋼である。これら韓国によるAD課税に対して日本が紛争処理を申し立てた。

残りの1件は造船補助金に関する紛争である。自国造船業に対する大々的な公的助成が輸出補助金に相当するとして、紛争解決手続の第一段階としての二国間協議を日本が要請した。また紛争処理手続が終了したものとしては、韓国による日本産水産物に対する輸入規制に対して日本が提訴し、最終審で日本の主張が認められなかった案件が記憶に新しい。

さらに、韓国が日本を訴えた案件もある。韓国の半導体メーカーが補助金を受けているとして、日本は同社製の半導体DRAMに対して相殺関税をかけたが、これを不当な措置であるとして韓国が提訴した。また、日本の海苔の輸入割当制度に対して韓国が提訴した事例もある。

しかし、これらの紛争は政治問題が経済分野に波及したものではなく、水産物に対する輸入規制以外は自国の産業を保護するための政策が、相手国の産業に悪影響を与えたことで発生した。また水産物の輸出規制も、政治問題が影響を与えたというよりも、食の安全に過敏となった世論に押された措置といえるだろう。

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最終更新:8/22(木) 15:01
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