ここから本文です

ベビーカーのママに「気を付けろ!!」 子育てのしにくい日本社会に見る、クレームの構造

8/22(木) 5:30配信

文春オンライン

わざわざおっさんが文句を言いに来る

 翻って、日本においても北海道やら東北北陸とか旅していると、列車や食堂で出会う見知らぬ女性が赤ちゃんを見て「かわいい」とか声をかけてくれるんです。もちろん、赤ちゃんに優しい声をかけてくれる男性もいて、ありがたいはありがたいのですが、列車の中で酒を飲まないで欲しいということ以外は、なんかこう日本も決して子どもが嫌いだというほどでもないのかなとは思うんですよね。

 ただ、これが名古屋や大阪などの大きい都市に行くと、俄然ベビーカーや赤ちゃんに対する風当たりはつよくなります。

 新幹線に乗り、席を対面にして疲れた子どもが靴を脱いで足を上げて寝ていると、わざわざおっさんがやってきて「子どもにそんな乗り方をさせるな。恥ずかしい」と文句を言ってくる乗客もいます。もちろん、私も「うるせえ、お前は私のおかあさんか」と応戦するわけなんですけど、これはもちろん平和を愛するがゆえにやむを得ず喧嘩をしてしまう私がそこにいるから「バーカ」「お前こそバーカ」となるものの、ここにもしも女性である家内しかいなかったら、どうだったでしょう。

自分より弱そうな人を徹底して選ぶ

 通勤電車や混雑した街中で、子どもを連れているがゆえに罵声を浴びせられるケースは、私も少なくない数経験をしているのですが、おそらくそれ以上に、母親が一人で引率しているときにより危険度が高くなるように感じます。

 実際、子どもを連れて外出していた家内や、学校や習い事でご一緒するママ友の皆さんから、愚痴のような経験談として「妊娠しているのに席を譲ってもらえなかった」「すれ違いざまに『うるせえ』と言われた」「主人が仕事に出ていないタイミングを見計らって、シツケがなってないと近所から怒鳴り込まれた」などの話は頻繁に聞きます。

 さらには、先日習い事の帰りに一緒になった子どもたちと拙宅山本家の倅たちが公園に寄って騒いで遊んでいたら、近くに住む高齢男性3人がぞろぞろやってきて「うるせえ」と文句をつけてきたことがありました。それも、出入り口付近で子どもと遊んでいるアロハシャツを着た私にではなく、少し離れてママ友同士で話していたところへ、クレームを入れているんです。しかも、そのうちの一人は先日近所で最近連絡が取れないというので他の民生委員の人と一緒に町内会メンバーで生存確認しにいったジジイです。

 なんだよてめえ元気じゃねえか。高齢男性たちの放つ声量の百倍の大声で「うるせえのはお前らだ! 真昼間の公園で静粛に遊ぶ児童だったのかお前らは! 墓前に行ってママに証言もらってこい!」と怒鳴ったところ、公園の平和は無事に守られました。

 巷の騒動に関して豊富な経験を持つ私の観測で申し上げれば、クレームをつける人は、必ず自分より弱そうで、配慮してくれそうな人を選んで文句を言うことは徹底しているように思うのです。父親である私が子どもたちを率いていて、子どもたちが騒いで直接私に文句を言ってくる人はほとんどいません。新幹線内の酔っ払いが絡んでくることは多数ありましたが、相手を上回る気合と大声で対抗しながらスマホで相手の写真を撮ると、たいていしめやかにお帰りになられます。

 一般論として、父親がいるとあまり文句はつけてこないけど、母親だけならガンガンに文句を垂れるのは圧倒的に中高年の男性で、一度、この辺の話は内閣府あたりでちゃんと聞き取り調査してみたらいいんじゃないかというレベルの普遍的な事項だと思うんですよね。

2/3ページ

最終更新:8/22(木) 8:39
文春オンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事