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所有する不動産を「自分が代表取締役の会社」に売却するには?

8/22(木) 15:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

不動産を複数所有しどんどん規模が大きくなった際に、オーナーから「個人名義で所有している不動産を、自分の会社へ売却するので名義変更したい」という依頼を受けます。はたして、個人名義の不動産を自分の会社に売却するためには、どのような手続きが必要なのでしょうか。法律事務所に所属し、不動産関連の案件に多く携わっている司法書士・木宮瑛子氏が解説します。

会社法で規制される「利益相反取引」に該当する

実は不動産オーナーと自身が代表取締役の会社間の不動産売買は、利益相反取引にあたります。下記の例をみてみましょう。

取締役(代表取締役Aさん)が契約の当事者として(Aさん個人所有の不動産)、会社(甲株式会社)と取引(売買契約)をする行為は、「直接取引」といって会社法で規制されています。

取締役が会社の利益を犠牲にして、自分個人の利益を図ること(利益相反)を防止する趣旨で設けられている規制です。つまり、このようにオーナーと自分が代表取締役の会社間の不動産売買は、利益相反取引にあたるのです。なお、Aさんが代表取締役ではなく、平の取締役であったとしても、会社と取締役との取引となりますから、規制の対象となっています。

また上記は会社が株式会社の事例でしたが、会社が特例有限会社や合同会社であっても同様に制限対象となります。

ちなみに、会社が売主で個人が買主と逆の立場であっても、規制の対象となっています。

客観的・合理的な価額での売買とするためには?

では、取引ができるよう会社はどのように対処すればいいのでしょうか? まず、法人税法上、法人は時価で取引を行なうことが大前提となっています。

通常、第三者との売買であれば、当事者間で合意した価額が時価だと考えられますが、前出の例の場合、通常より低い価額が売買金額に設定される可能性があります。客観的・合理的な価額で売買する必要があるため、税理士に事前に相談してみてください。

客観的価格での不動産を売買することを決定したら、甲株式会社が、取締役会がある(=取締役会設置会社)か、取締役会がない(=取締役会を置かない会社)かによって、取るべき措置に分かれます。

取締役会設置会社の場合、取締役会でこの売買契約を承認してもらいます。その際、ポイントが2点あります。

ポイント(1)「不動産の特定+売買の価額+相手方」を明確に

具体的には、取締役会に売買契約書を提示して、承認を受けることが多いでしょう。売買契約において重要な事実を取締役会に開示したことを、取締役会議事録に記録します。

ポイント(2) 特別利害関係人が決議に参加しないこと

不動産の所有者Aが売主なので、取締役Aはこの売買契約について特別な利害がある取締役です。従って、Aは売買契約を承認する決議に参加できません。取締役A以外の取締役B、Cの過半数の賛成が必要なので(原則、甲株式会社の定款において、取締役会の定足数や決議要件について、別段の定めがある場合は、それに従います)、Aを除いて、B、C両方の賛成があったことを取締役会議事録に記録します。

また、通常の取締役会では、代表取締役であるAが取締役会の議長を務めている会社であっても、議長は、BかCに務めてもらいましょう(甲株式会社の定款において、取締役会の議長について、別段の定めがある場合はそれに従います)。

次に取締役会を置かない会社である場合、株主総会でこの売買契約を承認してもらいます。株主総会も取締役と同様、「不動産の特定+売買の価額+相手方」を明確にすることがポイントです。

具体的には、株主総会に売買契約書を提示して、承認を受けることが多いでしょう。売買契約において重要な事実を株主に開示したこと株主総会議事録に記録します。

世の中には、株主1人だけの会社さんも多数あります。たとえば甲株式会社の株主はAだけとした場合、AがAの資産を好きなように名義変更するのだから、利益相反ではないと思われがちです。

しかし、登記の申請を受け付ける法務局にしてみれば、甲株式会社の株主がAだけということはわかりません。つまり利益相反取引にあたるかどうかは、形式的に判断し、株主総会議事録の作成で判断するのです。

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最終更新:8/22(木) 15:00
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