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安倍総理が心待ちにしている8月24日 大叔父・佐藤栄作元総理はどっちがすごい?

8/22(木) 6:00配信

デイリー新潮

 高い支持率を誇り、政界では向かう所敵なしの安倍晋三総理。永田町では、「自民党にはライバルもいないし、この政権はまだまだ続く」なんて言われている。そんな折、ご本人は8月24日が来ることを心待ちにしているという。

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 ある官邸関係者によれば、

「最近、総理が楽しみにしていることは、8月24日に通算在職日数で大叔伯父の佐藤栄作に並ぶこと。さらに、11月20日に桂太郎を超え 、憲政史上最長になることです」

 総理大臣の在任期間を計る尺度には、「通算在任期間」と「連続在任期間」の2つがある。連続在任期間は、連続して総理大臣に在職している日数で、通算在任期間は、総理大臣として就任した日数だ。この8月23日、歴代3位だった安倍総理の通算在任期間は2798日となり、歴代2位の佐藤栄作と並ぶのである。そして11月19日には、通算在任期間が2886日となり、歴代1位の桂太郎と並ぶことになる。ちなみに、通算在任期間歴代4位は伊藤博文、5位は吉田茂だ。そして、来年8月23日まで安倍内閣が続けば、連続在任期間でも歴代1位の佐藤栄作の2798日に並ぶという。そこで、日本大学法学部の岩井奉信教授に、佐藤栄作と安倍総理を比較してもらった。

 佐藤内閣は、1964年11月9日から72年7月7日、第1次から3次まで続けて就任した。一方の安倍内閣は、第1次が06年9月26日から07年9月26日までの366日。そして12年12月26日から現在、第2次から4次まで続いている。

 まず、総理としての実績はどうか。

「佐藤総理は、目に見える実績はいくつもあります。最も大きなものは、72年の沖縄返還です。それから、65年の日韓基本条約による日韓国交正常化が挙げられます。そして、67年の『核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず』の非核三原則がありますね。この非核三原則によって佐藤は74年にノーベル平和賞を受賞しています」

 安倍総理はどうか。

「正直申し上げて、目に見える形での実績は今のところありません。安倍総理は、戦後外交の総決算として、北方領土の返還を求めていました。昨年の日ロ交渉で、ひょっとしたらと思っていたのですが、ロシアに逃げられてしまった。また、15年の安保法の成立で集団的自衛権が行使できるようになり、憲法改正に弾みがついたかにみえましたが、自民党は昨年3月の党大会で、憲法のどの部分をどう変えるかという条文案が党の総意として示すことができなかった。そういう意味で、昨年は安倍内閣にとって誤算の年でしたね。憲法改正について公明党は否定的な見解を示しているし、9条を改正するにはハードルが高い。9条改正のための国民投票をすれば、反対もかなり多いでしょう」

 アベノミクスによって、景気は上向いているのではないか。

「確かに、景気は良くなってきてはいますが、安倍政権が目標にしたインフレ率2%の目標は達成できていません。デフレからまだ脱却できていないのです。結局、安倍政権の実績は、政権が長く続いただけ、と言われても仕方ありません」

 佐藤栄作と安倍総理で、党内基盤を固めるための政治手腕に違いはあるか。

「佐藤総理は、“人事の佐藤”といわれたように、人心掌握術に長けていました。将来の総理総裁候補を育てたのです。田中角栄、福田赳夫、三木武夫、中曽根康弘、宮澤喜一たちを党の要職につけて競わせ、操って、政権の求心力を維持し続けました。ところが、安倍総理は、ポスト安倍を育てていないのです。官房長官に菅義偉氏を据え、ブレーンに通産官僚の今井尚哉氏を迎えるという骨格は変えないまま、政権を続けている。ポスト安倍がいないから、長期政権になっているともいえますね」

 佐藤内閣と安倍内閣で、共通するものはあるか。

「どちらの内閣も、自民党だけが強く、野党が弱いという1強他弱なところが同じですね。佐藤内閣の時は、最大野党の社会党が、60年代後半から失速し、69年の衆議院選挙では51議席を失い90議席と100議席を切ってしまった。これで自民1強となり、政権が長期化したのです。安倍内閣も同じですね。野党が政権を取るには、その直前の総選挙で110とか120議席を獲得しておかないといけませんが、立憲民主党は60~70議席ですからね、 政権交代を実現させるには程遠い数字です。だから、長期政権が維持できるのです。佐藤内閣の場合は、河野一郎や大野伴睦といった有力なライバルがいて、彼らと切磋琢磨することで党を盤石なものにしていった。安倍総理の場合は、有力なライバルがないので、何もしなくても党を盤石にすることができた。その点で安部総理は恵まれているともいえるでしょう」

 国民的人気はあったか。

「佐藤総理は、新聞社が嫌いで、自分の言ったことと違ったことが書かれると怒ってよく喧嘩をしていました。だから、メディアにもあまり出なかったので、国民的人気はなかったですね。自民党自体が強かったので、世論を気にする必要もなかったのです。佐藤総理は鉄道省の出身でしたから、官僚的な政治をやったので面白みもなかった。だから、佐藤総理の後に田中角栄が総理になったときは、わーっと人気がでたわけですよ」

もっとも、

「ところが、佐藤総理が辞職すると、急に人気が出てきたのです。ノーベル平和賞を受賞したことも大きいが、佐藤内閣は沖縄返還など、ちゃんと実績があるじゃないかと見直されたわけですね」

 安倍総理はどうか。

「安倍内閣は、支持率が5割前後ありますから、まあ、人気があるとみていいですね。安倍内閣は小泉内閣や中曽根内閣と同様、理念がはっきりしているので、これが強みになっています。北方領土返還、憲法改正、北朝鮮の拉致問題解決と、3つの理念に向かって走っている。そういう内閣は長期化するものです。理念がない内閣は、国民からは期待されず、どんどん支持率が下がって短命に終わってしまいます」

 来年8月24日まで安倍内閣が続けば、連続と通算の在任期間で文字通り歴代1位となる安倍総理。その名が歴史に大きく刻まれることになるが、在任期間だけでなく、3つの理念のうち1つでも実現したいところだろう。

週刊新潮WEB取材班

2019年8月22日 掲載

新潮社

最終更新:8/22(木) 6:00
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