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ヤクルト「村上宗隆」は本塁打29本、84打点の大活躍 日ハム「清宮」と何が違うのか

8/22(木) 11:00配信

デイリー新潮

清宮の弱点は精神力!?

 表は8月19日現在のデータで作成したため、両選手の成績が最新のものではないことをご容赦いただきたい。とにもかくにも、まさに“明暗”という表現がぴったりだ。

 そして2人の明暗を分けたものとは? ――1985年から2003年までヤクルト、巨人、阪神で主砲として活躍。通算306本塁打は、NPB歴代41位という広澤克実氏(57)に、まずは村上の魅力を訊いた。

「村上選手が傑出しているのは、バットのヘッドスピードです。スラッガーにスピードは必須ですが、彼の場合、19歳とは思えないほどの速さです。DeNAの筒香嘉智選手(27)に匹敵し、外国人選手に近いレベルです。あれほどの速さは、間違いなく生まれ持っての才能です。練習で努力したところで、身につくものではありません」

 ヘッドスピードの速さは、筋力が重要になる。普通、19歳の高卒選手で、プロ野球選手の体になっていることは稀だ。とにかく食べ続け、少しでも体を大きくしようとする。

 広澤氏は明治大学で活躍し、84年のドラフトで3球団に1位指名された。ヘッドスピードは「チームでは速いほうでしたが、村上選手よりは遅かったと思います」と振り返る。

「私は22歳でプロ入りしました。高卒選手より体は出来上がっていましたが、プロ野球選手のレベルに達していなかったのは変わりません。選手はウエイトトレーニングで筋肉をつけ、ヘッドスピードを速くしていきます。村上選手の年齢を考えれば、更に速くなるポテンシャルがあります」

 村上の才能を後押ししているのが、バットの技術革新だという。具体的には軽量化だ。例えば広澤氏の現役時代、960グラムの木製バットを使う選手が多く、自身も試合に使っていた。ところが現在は、800グラム台まで軽くなっている。高校野球の金属バットは「900グラム以上」と定められているため、それよりも軽いのだ。

「OB戦やイベントなどで、800グラム台のバットが用意されていることがあります。たった数十グラムの差ですが、57歳の私でも軽量化したバットならヘッドスピードが増し、ホームランを打つことができます。960グラムでは無理です。技術革新が村上選手に味方し、ホームランを量産しているのは重要なポイントでしょう」

 一方の清宮だが、広澤氏は「今年の成績は決して良くはありませんが、必ず球界を代表するホームランバッターに成長します」と語る。

「村上選手と清宮選手の才能とポテンシャル、そしてゲームでのプレーも、少なくとも今のところは全く互角です。確かに数字上は村上選手が突出し、清宮選手は決して良くはありません。しかし、チーム順位を忘れないでいただきたいものです。ヤクルトは8月22日の時点で
首位と19・5ゲーム差で最下位。一方の日ハムは首位と9ゲーム差でロッテと共に4位。まだまだクライマックスシリーズ出場の希望は消滅していません。5位中日とさえ4ゲーム離されているヤクルトと比べ、日ハムの選手にのし掛かるプレッシャーは全く違うと言わざるを得ません」

 最下位のチームなら三振しても、それほどは責められない。村上にも心の余裕が生まれ、思い切ってバットを振ることができる。

 これに対し清宮の場合は、1試合の重みが違う。個人成績よりチームの勝利が最優先。4番の責任もある。三振に終われば、ファンやメディアは容赦なく批判する。どうしても、思い切ってバットを振るという状況になりにくいという。

 更に広澤氏は、村上と清宮は“タイプ”が違うことも指摘する。

「プロ野球選手は歴史に残る大打者でも、『コーチが必要ないタイプ』と『コーチを必要とするタイプ』の2種類に分かれます。前者の代表格はイチローさん(45)で、後者は王貞治さん(79)でしょう。そして村上選手はイチロー、清宮選手は王タイプだと思います。王さんを育てた荒川博コーチ(1930~2016)のような人が清宮選手の身近にいると、もっと成績は変わってくる可能性があるはずです。更に清宮選手自身が、イチロー流の“唯我独尊”的な考えを持つこともいいかもしれません」

 広澤氏は「数年後、2人はセパの主砲として球界を盛りあげる存在になるのは間違いありません」と断言する。交流戦や日本シリーズで2人の対決を是非とも見てみたいものだ。

週刊新潮WEB取材班

2019年8月22日 掲載

新潮社

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最終更新:8/22(木) 16:00
デイリー新潮

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