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実は解決していなかったフロン問題(2)

8/23(金) 17:21配信

オルタナ

年々地球温暖化が進み、今年も日本列島を猛烈な暑さが襲っていますが、皆さんは昨年岐阜の病院で起きた痛ましい事件を覚えていますでしょうか。岐阜県の病院において、エアコンが故障した部屋に入院していた80代の患者5人が死亡したという事件です。同病院はフロン排出抑制法で義務付けられた3年に1回以上の定期点検を実施していませんでした。定期点検をきちんと実施していればこのような惨劇は防げたかもしれないのです。

このような惨劇を防ぐために、フロン排出抑制法の点検義務、立ち入り検査などを確認しておきましょう。(弁護士・香川 希理)

(1)フロン排出抑制法の点検義務

フロン排出抑制法において、第一種特定製品(業務用冷凍空調機器)の管理者には、定期的に点検(簡易点検・定期点検)を行い、その記録を保管するとともに、フロン類の漏洩に適切に対処することが求められています。

「第一種特定製品(業務用冷凍空調機器)」というと、いかにも特殊な機器であり、一般の方には縁遠い問題のように感じてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。

例えば、スーパーやコンビニなどのショーケース、ビルや学校・病院などの空調機器、工場などの冷却装置、これらはいずれも第一種特定製品(業務用冷凍空調機器)にあたるのです。

したがって、それらの管理者は、すべての機器について3か月に一回以上の簡易点検を行うとともに、一定規模以上の機器については定期点検をする義務があるのです。冒頭の岐阜の病院は、この定期点検を実施していなかったのであり、きちんと定期点検を実施していれば、5人の命を守ることができたかもしれないのです。

(2)都道府県による立ち入り検査

各都道府県は、管理者に対する立入検査を実施し、法律に基づく取組が遵守されているか否かを確認することができます。環境省によると平成27年度の立入検査等の実施状況は、立入検査等実施件数が2,533件であり、内訳は第一種フロン類充填回収業者:1,364件(約54%)、 第一種特定製品管理者:889件(約36%)、とのことです。

これまでは都道府県の立ち入り検査の結果、違反状態が見つかった場合であっても、罰則まで4段階(指導・助言、勧告、命令、罰則)の手続きを経る、いわゆる「間接罰」制度がとられていました。

しかし、2020年4月施行予定の改正フロン排出抑制法においては、一度の違反で罰則を与えることのできる「直接罰」制度が導入されます。したがって、都道府県の立ち入り検査の結果、悪質な違反状態がみつかれば、すぐに警察に告発され、書類送検される、ということも起こりうるのです。

よって、管理者の方々は、今後はより一層、フロン排出抑制法の定める各種義務を遵守する必要があります。

◆香川 希理
香川総合法律事務所代表弁護士
2006年明治大学法学部卒業、2009年立教大学大学院法務研究科卒業、同年司法試験合格、同年最高裁判所司法研修所入所、2010年弁護士登録(東京弁護士会)、2013年香川総合法律事務所設立、現在同事務所代表弁護士。企業法務(特にコンプライアンス関係、不動産関係)を専門とし、上場企業をはじめ多種多様な企業の顧問をしている。主な著書に「トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務」(学陽書房)などがある。

最終更新:8/23(金) 17:21
オルタナ

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