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「一帯一路」に対抗する日米豪のインド太平洋維持

8/23(金) 11:52配信

Wedge

 2019年8月1日、ASEAN関連外相会議のためタイを訪問中の河野太郎外務大臣は、マイク・ポンペオ米国国務長官及びマリズ・ペイン豪州外務大臣兼女性担当大臣とともに、第9回日米豪閣僚級戦略対話(TSD)を行ない、16項目からなる共同声明を発表した。その要点を幾つか紹介する。

 第1は、自由で開かれたインド太平洋の維持・発展を、ASEANを中心に、日米豪が協力して推進するということである。日米豪三か国の外相は、「地域の平和と繁栄を促進する上でのASEANの成果に留意し」、「ASEANの中心性と一体性への強い支持を再確認」した。特に、2019年6月に開催されたASEAN首脳会議で採択された「ASEANインド太平洋アウトルック」を評価した。何故なら、同アウトルックに表現された価値、「ASEANの中心性、開放性、透明性、包摂性、ルールに基づく枠組み、良好なガバナンス、主権及び国際法の尊重」が、日米豪3か国が共有するインド太平洋地域のビジョンと合致するからである。

 第2は、日米豪三か国の外相は、「ハイレベルの交流や更なる経済連携を通じたものを含め、太平洋島嶼国への関与を強化する」ことを確認したことである。太平洋島嶼国は、ASEANの各国と比べると、人口でも面積でもGDPでも、小国であるので、外交的には優先順位が低くされることが多かった。しかし、インド太平洋地域、ことに海洋安全保障秩序の維持には、これら太平洋諸国は地政学的に戦略的位置にあり、重要な役割を担っている。日米豪外相は、この「地域の経済的及び社会的な強靱性、安定及び繁栄を支えるため」に、三か国が連携を密にして取り組むことを確認した。特に、具体的には、「最近、パラオ及びフィジーにおい て、相互補完的な形で海洋安全保障のための能力構築支援」が三か国協力のもとに行われていることを評価した。

 第3は、中国が進める「一帯一路」構想とそれを支える財政基盤としてのアジアインフラ投資銀行(AIIB)に対する具体的措置を、三か国で確認したことである。日米豪三か国の外相は、「『質の高いインフラ投資に関するG20原則』で確認された、社会及び環境への配慮、開放性、透明性、経済性並びに債務持続可能性を含む国際的に合意された原則に整合した質の高いインフラ投資を通じた連結性強化の重要性を強調した」。その上で、「インド太平洋における著しいインフラ投資へのニーズに対応するため」、「特に日本国際協力銀行、米国海外民間投資公社及び豪州外務貿易省・輸出金融保険公社」間の連携を強化することとした。

 第4は、北朝鮮問題である。日米豪の外相は、「国連安保理決議に基づく、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄という国際社会の目標」を確認した。そして、「北朝鮮が、完全な非核化を含め、米朝共同声明における自らの全てのコミットメン トの履行に向けて更なる行動をとるよう促し」、また、「北朝鮮に対し、人権侵害及び虐待を終わらせ」、「日本人拉致問題を即時に解決するよう、求めた」。

 第5は、中国を念頭においた南シナ海問題である。日米豪外相は、「2016年7月の比中仲裁裁判所の判断の重要性を強調し、同裁判所の判断は、最終的であり、両当事国を法的に拘束することに留意した」。また、三外相は、「南シナ海及び世界中における、係争のある地形の非軍事化、武力による威嚇又は武力の行使によらない、国際法特に国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく紛争の平和的解決及び、航行及び上空飛行の自由並びにその他の合法的な海洋の利用の完全な尊重の重要性を強調した」。声明では、南シナ海の他、尖閣諸島や台湾を含む東シナ海について言及することも忘れなかった。日米豪三か国外相は、「東シナ海における情勢に関し緊密な意思疎通を継続する」とともに、「この地域において現状の変更を試み、緊張を高めるいかなる威圧的で一方的な行動にも強い反対を表明した」。

参考:Trilateral Strategic Dialogue Joint Ministerial Statement, August 1, 2019

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最終更新:8/23(金) 11:52
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