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菌に乗っ取られて“ゾンビ化”するアリは、筋肉だけを強制的に操られていた

8/23(金) 8:11配信

WIRED.jp

ある種の菌が、アリの体内に侵入したあとで組織全体をむしばんで成長する。そして宿主であるアリを木に登らせ、小枝を噛ませることで体を固定する。もはや用済みになってしまったアリが死ぬと、その頭の後ろの部分を破裂させて胞子を雨のようにばらまき、木の下にいるほかのアリたちを狙う──。

【閲覧注意】菌に乗っ取られて“ゾンビ化”するアリ

その驚くべき複雑なメカニズムを、いったいどう理解したらよいのだろう。菌がアリを“ゾンビ化”させる集団感染現象を科学者たちは理解できず、永遠に謎のままなのだろうか?

ペンシルヴェニア州の生物学者たちは、このタイワンアリタケ(Ophiocordyceps unilateralis)と呼ばれる菌の一種が宿主を操る驚くべき仕組みを研究してきた。そして2019年7月、研究者たちはパズルの1ピースの正しい位置を突き止めた。菌がどうやってアリに小枝を噛ませるのかを解明したのだ。その真相は「アリ殺しの菌」というイメージに違わぬ、じつに卑劣なものだった。

筋肉が強制的に収縮状態に

タイワンアリタケの胞子がアリの外骨格に付着すると、まず硬い外殻を侵食していく。そしてやがて、どろどろして栄養豊富な内部に入り込む。そこで菌糸と呼ばれる管を体中に伸ばし、哀れなアリの筋肉を貫通するネットワークを形成する(このときのアリがどんな気分なのかについては、わたしたちが永遠に解こうと思わない謎かもしれない)。

この菌は想像を絶する方法でアリの行動を操作するのだが、実は脳には侵入しない。代わりに脳の周囲と、大あごを制御する筋肉のなかで成長する。これらは噛みつき攻撃の際に使われる部位だ。

ペンシルヴェニアの研究チームは走査型電子顕微鏡を使って、死にかけたアリの大顎の筋肉を観察した。分子生物学者のコリーン・マンゴールドは、「観察できたのは、(菌によって)筋肉が強制的に収縮状態にされている様子でした」と説明する。彼女を筆頭著者とする論文は、学術誌『Journal of Experimental Biology(実験生物学ジャーナル)』に掲載されている。

興味深いことに、菌は筋繊維の周囲のさやのような部分(筋繊維鞘)を破壊していたが、神経筋接合部は無傷だった。後者は、ニューロンが筋肉を動かすためのコミュニケーションが行われる部分だ。

「神経筋接合部が残っていることから、感染後も脳からの中枢神経系信号はおそらく伝達されていて、それが筋収縮を引き起こすと考えられます」と、マンゴールドは言う。つまり、菌は筋肉に侵入して有無を言わせず破壊するが、脳からのコミュニケーションを遮断しているわけではない。

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最終更新:8/23(金) 8:11
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