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シニアの「こういうもんだ」は禁句 若手へのその伝え方がパワハラになる可能性

8/23(金) 11:15配信

日経BizGate

シニアが若手との会話で踏む地雷

 シニアと若手が会話すると、ときとして地雷のようなものを踏むことがある。もう20年以上前だが、あるプロジェクトの打ち上げの席で起きたというこんな話を聴いた。シニア上司と30代男性、他に同年代の数人が居酒屋で公私にわたる雑談をしていたときのことだ。

 お酒が入り、リラックスした雰囲気のなか、30代男性が、共働きで2人の子育てをしているという話を始めた。保育園の送り迎えをはじめとする家事の全てを完全に分担しているという。できるだけ公平に家事をするために「月水金はボク、火木土は妻、日曜はどちらか余裕のあるほうがやっています」と笑顔で話す。その場にいた彼と同世代の人たちは「おお、いいねぇ。素敵」などとうなずきながらニコニコと聴いていたのだが、シニアの上司が突然、口を挟んだ。

 「男が半分も家事をさせられているなんて、だらしがない!」

 酔っていたが、口調ははっきりしていた。男は家事より仕事だ――「そういうもんだ」といったのである。

 30代男性はムッとし「よその家のことなんだから、放っておいてください」と言い返した。その場にいた同僚たちも「ほかの家族や家庭のことはあれこれ言わないほうがよいと思いますよ」とやんわりとたしなめた。

 酔っていたその上司がその言葉をどこまで本気で言ったのか、今では知る由もないが、当事者にははっきりと記憶に残るほどの出来事だったと聴く。30代男性にも、心にひっかかりを残したのではないかと思う。

 シニアが若手に対して、悪気なく「こういうもんだ」「そういうもんだ」と口にすることがある。これは、二つの観点から注意すべきだ。

 一つは、意図せずとも、古くなった価値観を押しつけるような、若手からすれば違和感を覚える言い方になる傾向があることだ。

 今は「男が...」「女が...」とおおっぴらに言うシニアは減ったが、それ以外にも若い世代からすれば「それはないだろう」「もう令和だよ、いつの時代の話?」「まったくもう、昭和過ぎるよ」と言いたくなるような言動をしているシニアはいるのではないか。

 こういう話がある。

 「働き方改革はいいんだけど、人間、無理して頑張ってこそ見える世界もあるじゃない」

 「たまに定時に帰るのはいいけど、夜中まで頑張ったり、徹夜で乗り越えたりした経験が後に効いてくるんだよねぇ」

 「今は無理だけど、昔は、上司に色々無理難題を言われたものだったし、とりあえず、“はい、はい”とふたつ返事で引き受けたものだね」

 「今はパワハラになっちゃうから言わないけど、私たちが若いころは、もっとキツイこととかひどいこと、たくさん言われたし、色んな目に合ったわよねぇ」

 こういう会話は、シニア同士で行うなら、すでに過去のものとして、笑い飛ばせるし、懐かしい思い出になるだけかもしれないが、そういう時代に生きてこなかった若手がそれを聴いて、どう思うだろう。

 直接指示しているわけではないので、若手も真っ向から反論はしないだろうが、心の中では「今どき、そんな話をされても...」と苦笑いされるか、「自分たちのような古いやり方をマネしろとやんわり伝えたいのかな?」と反発を感じるだけだろう。

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最終更新:8/23(金) 11:15
日経BizGate

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