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【ネタバレあり】子どもたちが世界を救うシナリオの限界を「ストレンジャー・シングス」に見た:ドラマレヴュー

8/23(金) 12:33配信

WIRED.jp

Netflixのドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」は、子どもたちが世界を救うという昔ながらの映画の定石を踏襲した作品だ。そのシーズン3の配信が7月に始まったが、過ちを繰り返す大人たちと世界を救おうと努力する子どもたちの構図は、前シーズンまでと変わっていない。だが実際のところ子どもたちが戦うべきは、この世界において社会や大人たちがつくり上げてきた混乱なのだ──。『ニューヨーカー』誌によるレヴュー。

現実世界でも最前線に立つ若者たち

子どもたちが協力して何かをやり遂げるのを見ていると、いつも新鮮な気持ちになる。Netflixのドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」はそんな作品だ。7月4日にシーズン3の配信が始まったが、その人気はとどまるところを知らない。

企画・製作総指揮のダファー・ブラザーズが、子どもを主役にした過去の映画からアイデアを得ていることはすぐにわかる。ただ、こうしたオタク的な面白さや全編に共通した大胆さ、痛快なアクションシーンは別として、子どもたちが世界を救うというモデルは、わたしたちを取り巻く現在の政治にも見られる理想主義を象徴している。

この思想はロマンチックではあるが、究極的には不公平だ。頻発する教育現場での銃乱射事件、気候変動、テロリズム。子どもたちは本当に、こうした難題を解決することができるのだろうか。

状況を悪化させる大人、活躍する子ども

シーズン3は、そのコアな部分においてはシーズン1と2の完全なコピーだ。つまり作品としてはほとんど成長しておらず、物語も冗長ではあるが、これまでの「ストレンジャー・シングス」と同じものを求めているファンにとってはむしろそのほうがいいのかもしれない。

マインド・フレイヤー(シーズン2でウィルを支配したあいつだ)はさらに強くなって帰ってくる。だがシーズン3では、正体不明の現象の背後には国家機関や悪人たちの陰謀という別の要因が隠されていることも明らかになる。

今回はおなじみの同級生仲間(ウィル、ルーカス、マイク、ダスティン、イレブン、マックス)に、年下なのに生意気なルーカスの妹のエリカ、年上の子どもたち(ジョナサン、ナンシー、スティーブ、今シーズンから登場したロビン)が加わり、怪現象を解決しようとする。大人が手伝ってくれることもあるが、たいていの場合においてろくなことはできず状況を悪化させるだけで、これまでと同様に中心的な役割を果たすのは子どもたちだ。

エリカはモンスターの魔の手に落ちそうになったとき、その機転と小さな体という特徴を武器に大活躍する。ただ、絶対に誰も入ることのできないと言われている研究施設にエアダクトから侵入するあたりは、いまいち現実味に欠けている感も否めない。

エリカは施設への侵入を「子どもを危険にさらす作戦」だと皮肉るが、ほかの子どもたちはこの悲劇的な状況における自分たちの役割に特に疑問は感じていないようだ。少年少女たちは特に大人に助けを求めるといったこともせず、ただひたすら頑張り続ける。

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最終更新:8/23(金) 12:33
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