ここから本文です

個性と多様性に溢れた世界各地の「小さな商店」:まるで“都会の神殿”のような11の風景

8/23(金) 18:14配信

WIRED.jp

チェーン店が席巻する都会にひっそりとたたずむ雑貨店や工房。文化的な均一化に陥りがちな現代社会において、そこには個性や多様性の守り手ともいえるオーナーや職人たちの姿があった。ある写真家は、こうした人たちが息づく“都会の神殿”にひきつけられ、1冊の写真集をつくり上げた。地下鉄の売店からレコード店、宗教彫刻の工房まで──。神聖な雰囲気すら感じられる11の風景をご覧いれよう。

世界各地にたたずむ“都会の神殿”

カナダのモントリオールを拠点に活動する写真家のウラジミール・アンタキ(Instagramアカウントは@guardiansphoto)は、友人とともにメキシコシティの混み合った通りを数年前にぶらついていたとき、狭苦しい彫刻家の工房に偶然出くわした。

ほこりをかぶったラジオがなければ、ルネッサンス時代のイタリアと見間違えたかもしれない。そこでは完成度が少しずつ異なる宗教彫刻が天井まで積み上げられていた。この工房を切り盛りしている男性マリオ・アントニオ(72歳)は、アンタキが興味を示したことに当初うれしそうなそぶりを見せなかった。

「アントニオは友好的ではありませんでした」と、アンタキは当時を振り返りる。「彼はイライラしていました。それから大声で怒鳴り始めたのです。45分くらいわめき続けていました」

そこでスペイン語を話す友人に通訳してもらったところ、アントニオの一族は12世代にわたって宗教彫刻をメキシコで制作してきたことがわかった。しかし弟子がいないため、家業はアントニオの代で途絶えてしまうのだという。

おまけにカトリック教会は、彼のような地元職人の作品よりも中国製の安価な彫像を買うようになっているのだという。自分の技術をちゃんと評価してくれる人間は誰ひとりいない、家族もカトリック教会も理解してくれないと嘆いている。アンタキのように店をぽかんと眺めている観光客ももちろん、工房にちょっとだけ足を踏み入れて写真を撮ったあとは何も買わずに出て行ってしまうだけだ。

1/2ページ

最終更新:8/23(金) 18:14
WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.34』

コンデナスト・ジャパン

2019年9月13日発売

1,200円(税込み)

『WIRED』日本版VOL.34「ナラティヴと実装」社会実装の可能性を探るべく、2020年代の実装論を総力特集

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事