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Film 『ロケットマン』~スーパースター、エルトン・ジョン波瀾の音楽人生

8/23(金) 18:07配信

中央公論

文・渡辺祥子 映画評論家

 エルトン・ジョンはビートルズやローリング・ストーンズと並ぶ英国を代表するミュージシャン。亡きダイアナ元妃に捧げた「キャンドル・イン・ザ・ウインド」はシングル曲として史上最高記録の三三〇〇万枚を売り上げている。

 そのエルトンを『キングスマン』のタロン・エガートンが抜群の歌唱力で歌って演じる『ロケットマン』は彼の半生記。ピアノの天才の子供時代をへて二十歳で売り出し、七〇年代にはスーパースター、九〇年代には麻薬や浪費でリハビリ施設入り、それでも、いまなおスーパースターの座は揺るがない、という光もあれば闇もある波瀾の音楽人生を彼の魅惑の曲の洪水でミュージカルに仕立てている。監督のデクスター・フレッチャーは、監督が途中降板した『ボヘミアン・ラプソディ』を最終的に仕上げて有名になった。

 少年の日。愛されたいと願った父の心は冷えて愛を知らず、母親の関心は若い愛人にある。エルトン二十歳と、歌詞を書いて生涯の友になるバーニー・トーピン(ジェイミー・ベル)十七歳の出会いは、彼らの初期の大ヒット作「ユア・ソング」を生み、バーニーは良きパートナーになったがエルトンの望む愛は「僕はゲイじゃない」と拒絶した。

 ミュージシャンとして成功しても心は満たされず、ケタ外れの浪費に走り、酒と麻薬に溺れながらも、彼の溢れ出る才能は圧倒的パフォーマンスを生み出して観客を魅了し続けるのがすごいところだ。世界中にいる彼のファンは、映画の最後に映る同性婚の相手との幸せそうな家族の写真に祝福を贈ることだろう。

監督:デクスター・フレッチャー
2019年8月23日(金)より全国公開

最終更新:8/23(金) 18:07
中央公論

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