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泥沼の日韓報復合戦「GSOMIA破棄」でも日本に実害はない!――文藝春秋特選記事

8/23(金) 5:30配信

文春オンライン

「文藝春秋」の特選記事を公開します。(初公開 2019年8月7日)

 昨年10月末に韓国大法院(最高裁)が下した「徴用工判決」に端を発する“日韓闘争”が激しさを増している。

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 徴用工判決への事実上の報復措置として日本政府が打ち出した「半導体原料規制」と「韓国のホワイト国外し」に、文在寅政権は怒り心頭だ。韓国世論ではさらなる日本への対抗措置論が浮上しているが、その1つが現在、日韓両国で締結されている「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」の破棄である。

8月24日に更新期限を迎えるGSOMIA

 GSOMIAとは、2016年に締結された日韓の防衛秘密の交換を円滑にするための枠組み。1年ごとに更新されるが、今年の更新期限は8月24日だ。日韓のいずれかが期限までに破棄を申告すれば、GSOMIAは終了(失効)する。

 日本が韓国をホワイト国から除外したことを受け、韓国大統領府の金鉉宗・国家安保室第2次長は、次のように述べ、GSOMIAの破棄を示唆した。

「我々に対する信頼が欠如し、安保上の問題を提起する国と敏感な軍事情報の共有を持続するのが正しいのかも含め、今後総合的な対応措置を取る」

 では、実際に韓国がGSOMIAを破棄した場合、どのような影響があるのだろうか。防衛駐在官として韓国に赴任した経験を踏まえて分析してみたいと思う。

 まず、GSOMIAの破棄は、日本と韓国との間の防衛秘密の交換だけを考えるならば、相互にあまり実害はないと思われる。防衛秘密情報の世界においては、現在、米軍が圧倒的に優位にあり、日本も韓国も「貰う側」だからだ。それゆえ、日本が韓国から情報を貰わなくてもそれほど困ることはないだろう。

陸海空自衛隊相互でさえも重要情報は隠したがる

 筆者の駐韓国防衛駐在官時代(1990~93年)にGSOMIAは無かったものの、陸・海・空幕僚監部及び統合幕僚監部と、韓国軍のカウンターパートの情報参謀は、年に1度、相互に両国を訪問して会議を実施していた。その席では、当然北朝鮮情報などについての意見交換があったが、「アッ」と驚くような重要情報を与えることは無かったと記憶している。

 このような場で、先に重要情報を開示してきた場合は、「下心」があると見るべきだ。「重要情報」によって相手国を「情報操作」しようとしているか、同じレベルの「重要情報」を相手から引き出そうとする意図がある。そもそも、情報とは隠したがるものである。陸海空自衛隊相互でさえも重要情報は隠したがる。もとより、防衛省、警察庁、外務省も相互に情報は隠したがる。情報とはそのようなものである。

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最終更新:8/29(木) 17:48
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