ここから本文です

「下痢」を起こす東京の下水道

8/23(金) 6:15配信

JBpress

 8月17日、パラ・トライアスロンのワールドカップは、会場である港区お台場の海浜公園周辺スイムコースの水質が悪化したとして、トライアスロンを中止、ランとバイクだけによるデュアスロンに変更して競技が実施されました。

 国際トライアスロン連合からは、1年後に控える東京オリンピックに向けてリスクを減らす環境対策」の強化が求められました。

 リスクがあれば適切に中止する・・・あいちトリエンナーレで、アマチュアのガバナンスが判断できなかった適切なディシジョン・メークがここにあります。

 いったい何が起きていたのか? 

■ 水質汚染の構造要因

 まず現象面から確認してみましょう。

 8月15、16日に行われた健常者のトライアスロンでは、水質には問題がないとされ、通常の競技が実施されました。

 ところが16日午後に実施された水質検査では、大腸菌の含有率が国際基準が定める上限の2倍を超えていることが判明。

 最悪に区分される「レベル4」に相当する値が出たため、競技規則にのっとってトライアスロンのスイム競技を中止し、ランニングと自転車競技だけのデュアスロンに変更されたというものです。

 2020年の東京オリンピックに際しても、直前の水質検査で基準をクリアできない場合、トライアスロン競技が中止され、デュアスロンに変更される可能性も示唆されました。

 念のため確認しておきましょう。鉄人競技として知られるトライアスロンは

 スイム 0.75キロ
バイク 20キロ
ラン 5キロ

 のメニューをこなしてスピードを争います。

 トライアングル=三角同様、トライアスロンとは3種競技といった意味合いの「three」にまつわる競技名。これに対して、デュアスロンは「デュオ」=コンビや「デュエット」2重唱など「two」にまつわる名前ですが、実際の競技は

 ラン 2.5キロ
バイク 20キロ
ラン 5キロ

 のメニューで、3つのパーツからなりますが種目が2つに減った状態で争われます。

 選手が競うべき体力の限界はほぼ同様と思われますが、もし水質にリスクがあれば、危険な水に選手の体を浸して体調をおかしくするような判断は決して取られません。

 事前に問題を回避して安全確実に大会を実施するというのは、実に賢明な判断です。

 それにしても、1年前の時点でこんなリスクが判明してしまった東京オリンピック、「トライアスロン競技の会場選定に、問題があったのではないか?」という指摘はなされて当然でしょう。

 「お台場」という固有名詞は、私たち昭和の高度成長期に東京で育った者にとっては、下水の処理とペアになって知られていたように思います。

 私の母は関西=神戸出身で大正末年の生まれでしたが、お台場近郊には子供は水遊びに行くべきではない、というようなことを私が子供の頃、よく言っていました。

 母が引き合いに出したのは兵庫県は西宮の「生瀬」という地名でした。いまだに私は訪れたことがないのですが、小さな子供をつれて水遊びに行くなら「生瀬」みたいなところ、お台場は・・・と点が辛かったのを覚えています。

 昭和40年代の話で半世紀も昔のこと、お台場がウオーターフロントとして開発されて久しい今日には直接当てはまらないかもしれません。

 しかし水質環境工学などの観点から検討する際には、無視できない要素が含まれているようにも思われるのです。

1/5ページ

最終更新:8/23(金) 6:15
JBpress

記事提供社からのご案内(外部サイト)

JBpress Premiumは
日本の未来を創るビジネスリーダー
のための総合メディア
JBpressが提供する有料会員サービスです。

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事