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「サウナのブームはSNSとともに訪れた」サウナ人気の意外な歴史

8/23(金) 12:01配信

現代ビジネス

 サウナ好きで、タナカカツキの『サ道』を知らない人はいない。各地のサウナ施設に、まるで聖書のように置かれているこの本は、まず2009年にウェブマガジンでコラムとして連載が始まり、2011年に書籍としてまとまり、2013年から週刊モーニングでマンガ化され、そのたびに最高のサウナガイドとして広まっていった。

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 タナカカツキは、天久聖一と組んだ『バカドリル』等でもっとも先鋭的な笑いを生んできたマンガ家であり、多数のCG作品を制作し続ける映像作家であり、「水草水槽」の第一人者でその世界ランク4位でもあるが、「サウナの人」としてのイメージもすっかり定着している。

 そして現在、テレビ東京・金曜深夜のドラマ25枠でドラマ版『サ道』が放送中。今がサウナブームだとするなら、「日本サウナ大使」も務める彼は、この現状をどのように捉えているのか。『サ道』スタートから現在までを、日本のサウナ発展の歴史となぞらえて語ってもらった。

2009年~:サウナ愛好家つながり期

 #1 サウナブームのきっかけはSNS

 ──サウナに目覚めた時、それを文章化しようと思われたきっかけは? 
 タナカカツキ(以下、タナカ):実は、ツイッターなんです。いわゆるSNSブームは2009年ですが、その前の2008年にツイッターを登録して、「なんかつぶやかなきゃ」みたいに思っていた時、ちょうど自分の中でサウナがおもしろくなってきた時期だったんです。「××の水風呂は16℃でよかった」とか、マメにつぶやいていましたら、それを見たウェブマガジンの編集者から連載のお話をいただいたんです。

 ──その時は「あ、これは書けるな」と? 
 タナカ:書けるがどうかは別にして、サウナについて書きたいとは思っていました。ただ、最初は『翼の王国』とか『Pen』とかで書くイメージだったんですけども(笑)。サウナの入り方もろくに知らなかったのに、大人になって初めてスポーツジムのできたばかりのサウナに入った時に、たまたまいいセッション(サウナと水風呂にセットで入ること)ができて、「あ、これすごいな。サウナを誤解してたな」と思ったんです。

 そこからサウナの歴史とかも調べだしたら、すごくおもしろかった。サウナを題材にして何か書く、というのは、もちろん先人の方はたくさんいらっしゃるんですけど、学術的なものばかりで、くだけた表現で書いているものがなかったんです。

 ──タナカさんの連載で、その頃から若い人たちもサウナに興味を持つようになったのでしょうか? 
 タナカ:その連載というよりも、当時はSNSのパワーが大きかったと思います。SNSブームによって、全国に散らばっていたサウナーたちがワーッとつながったんです。みんなハンドルネームならぬ「サウナネーム」を持っていて、トランスに一番近いサウナの入り方とかを各所で研究していた人たち同士の情報交換が始まったんです。

 #2 「ととのう」は古参サウナーが生んだ言葉

 ──以前から各地にいたサウナ好きの人たちが、SNSによってそれが可視化されたのですね。「ととのう」(※1)という言葉もその頃生まれたのでしょうか? ※1 サウナと水風呂の温冷交代浴によって自律神経が整ったように感じること。

 タナカ:それはもう少し経ってからですね。最初は「恍惚」とか、「サウナトランス」とか、「ニルヴァーナ」とか、そういう言葉を使ってたんですけど、なんかちょっと違うな、と思っていて。そしたら、SNSで出会ったサウナーたちが「ととのう」という言葉で話しておられて。だから、僕が作った言葉じゃないんです。サウナ歴40年みたいな方の間で自然と使われていて、マンガを描くにあたってそれをピックアップしたという。

 #3 フィンランド式サウナの普及はSNSのおかげ

 ──活字版の『サ道』を読み直すと、当時はまだ「ロウリュ」(※2)って一般化してないんですよね。
※2 フィンランド式サウナ入浴法。熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させることにより、体感温度を上げて発汗作用を促進する。

 タナカ:そう、本にまとめる時に、ロウリュをやっている店が東京にあることを知って、そこに行って終わる、という内容にしました。ただ、サウナ施設自体の変化は、2009年あたりからすでに始まっていました。高温の乾燥したドライサウナが流行りじゃなくなって、じわじわとサウナ室の温度が下がり、ロウリュができるお店が増えていく、という変化が起きていたんです。

 ──そういった変化が起きたきっかけは? 
 タナカ:それもSNSです。サウナのオーナーさんがSNSの声を拾い上げて、サウナ室をリノベーションしたりしていました。サウナ施設も、SNSで利用者とリンクしながら変わっていったんです。

 ──『マンガ サ道』に、サウナや銭湯のスタッフにどんどんアドバイスすることで店を改善していくお客が出て来ますよね。

 タナカ:そう、ああいう人も各地にいるんです。というのは、サウナ施設って、支配人とかオーナーが、別にサウナを好きじゃない場合が多いんです。異動で急にサウナの支配人になった、とか。だから、サウナと水風呂と休憩スペースの動線がめちゃくちゃだったりするんですよね。そこで、サウナーがアドバイスしたりして、お店を作っていくという。

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最終更新:8/23(金) 12:01
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