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香港デモの次は台湾…ついにトランプが斬り込む「中国の人権問題」

8/23(金) 7:01配信

現代ビジネス

米中貿易協議と香港デモ

 大規模なデモと集会が続いている香港情勢について、米国のトランプ政権が中国の強硬策をけん制している。トランプ大統領は「米中貿易協議の合意が困難になる」と発言した。これは何を意味するのか。

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 結論を先に言えば、私は「トランプ政権が対中政策を一段と拡大・強化している」とみる。これまで、大統領は注意深く、米中対立を「ゼニ・カネの問題」にとどめていた。ところが、ついに、大統領自身が中国の人権や民主主義を問題視する姿勢を明らかにしたのだ。

 トランプ氏は8月18日、香港情勢について「中国が暴力を行使して、もう1つの『天安門広場』になれば、貿易協議の合意は非常に難しくなる」と述べた。「天安門広場」は、中国政府が民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件を指すのは言うまでもない。

 これは、香港デモを米中貿易協議と結びつけた、初めての大統領発言である。これまで大統領は香港情勢に懸念を表明していたが、米中貿易協議に悪影響が及ぶ可能性に言及したことはなかった。

 中国が香港デモを武力弾圧すれば、米国はもちろん、世界は「人権と民主主義に対する弾圧」と受け止めて、中国を厳しく批判する。そうなれば、香港にとどまらず、チベットや新疆ウィグルなど中国国内の人権弾圧に批判が飛び火するのは確実だ。

 香港デモは単に香港だけでなく、中国共産党による人権・民主主義弾圧を糾弾している点が本質である。そんなデモをトランプ氏が米中貿易協議に結びつけたのは、米国が「これから中国の人権や民主主義についても、批判の刃を向けていくぞ」と宣言したも同然なのだ。

 意外に聞こえるかもしれないが、中国の人権問題について、トランプ氏自身はこれまで、真正面から批判してこなかった。大統領が中国に要求してきたのは、あくまで貿易不均衡の是正や知的財産の保護、国営企業に対する補助金停止などだ。つまり、経済問題である。

 米中対立が激化していると言っても、大統領自身は要求を経済分野にとどめ、人権や安全保障問題はノータッチに近かった。政権内で中国の人権弾圧を批判してきたのは、ペンス副大統領である(2018年10月12日公開コラム参照、https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57929)。

 それは「トランプ氏はゼニ・カネ以外に関心がなかった」のかもしれないし、あるいは副大統領と意図的に役割分担してきたのかもしれない。いずれにせよ、トランプ氏は15日時点でも、香港について「懸念している。暴力は見たくない」と述べただけだった。

 今回、大統領自身がはっきりと香港デモを米中貿易協議に連動させた。ツイッターではなく、記者団に直接、語った点も見逃せない。強いメッセージを発信する意図があったからだろう。トランプ政権が一歩踏み込んだのは、明らかである。

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最終更新:8/23(金) 7:01
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