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なぜ女児はホームドアの隙間に取り残されたか

8/23(金) 5:10配信

東洋経済オンライン

 8月3日、名古屋市のリニモ(愛知高速交通東部丘陵線)藤が丘駅で、母親に続いて列車に乗ろうとした5歳の女児が、車両とホームドアの間に取り残され、列車が出発した後にホームから転落した。

【写真】車両とホームドアの隙間、日本と世界の違い

 駅員が転落に気づいて非常停止ボタンを押して救出し、幸い大きなケガはなかったようである。リニモは車両が磁力で浮き上がって走行する鉄道で、運転士が乗務しない無人自動運転(地下区間のみ異常時の避難誘導に備えて係員が添乗)、すべての駅にホームドアが設置されている。

■隙間が広いと人が取り残される危険も

 エレベータのように、動く側と地上側のドアの隙間がほぼゼロであれば、そこに人が取り残される可能性はない。

 しかし、鉄道の場合は走行する車両が動揺するため、ある程度の隙間を確保して接触を回避する必要があり、その隙間が広いと人が取り残される可能性が出てくる。

 そこでホームドアの戸先下部車両側に板を設け、人が挟まれた場合はドアが閉まらないようにしたり、センサーを設けて人が取り残されたことを検知したりするようにしている。

 今回の事故は、戸先下部の板と車両の隙間がかなりあって、女児の脚がその隙間を通ってしまったものと思われる。なお、本文中で“メトロ”という言葉が何回も出てくるが、海外の鉄道の場合は必ずしも地下鉄という意味ではなく、都市鉄道を意味するものとご理解いただきたい。

 今回事故が発生したリニモ藤が丘駅のホームドアは、車両との隙間が約35cmあるという。

 一例として東京メトロの例を挙げる。東京メトロでは、駅ホームの構造にもよるが、どの駅でも車両とホームドアの間にはある程度の隙間がある。

 しかし、東京メトロのホームドアには、赤外線を用いて人が取り残されたことを検知するセンサーが設置されている。

 一方シンガポールメトロは、車両との隙間が最も狭い下部で10cm未満、ホームドアの下部は三角形に張り出していて、人が取り残されると物理的に閉まらないようになっている。

 筆者は4年前からインドに住み、建設中のメトロの車両コンサルタントとして仕事をしている。インドをはじめ海外のメトロのホームドアを見る機会も少なくないが、車両とホームドアの隙間が日本ほど広いところは見た記憶がない。

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最終更新:8/23(金) 10:54
東洋経済オンライン

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