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働き続けたいがん患者 医療・職場の情報共有で支える

8/24(土) 10:12配信

NIKKEI STYLE

■医療者と職場の担当者にある認識のズレ

――がん患者の3人に1人が働く世代といわれ、治療と仕事の両立は重要な課題になってきています。両立する上で大切なことは何でしょうか。

がんと就労の問題でとても大事なのは、患者さん本人を仲立ちとして、主治医と職場がよくコミュニケーションをとり、正確な情報を、過不足なく共有することだと思います。

ところが、一般的に医療者は、患者さんの病気と直接関係のない仕事のことを根掘り葉掘り聞くことをためらいがちです。たとえ聞いたとしても、医療者のほとんどは医療機関でしか働いたことがありませんから、社会一般の働き方を必ずしもよく分かっていません。一方、職場関係者も、個人情報である病気のことを詳しく聞くことをためらいがちです。互いに躊躇(ちゅうちょ)していては、よいアイデアは出ませんよね。

また、職場関係者は、主治医は患者について何でも分かっていると考え、「職場ではどう気を付ければいいですか」と、就業上の配慮を問い合わせてきます。でも、アドバイスをするには、患者さんご本人の仕事の内容や職場のルールなども知る必要がある。さらに、職場関係者と情報を共有するにあたっては、患者さんご本人が同意していることが前提です。情報は、医療者が患者さん本人に説明している範囲にとどめる必要もあります。主治医と職場のコミュニケーションは、そういう注意を払いながらの双方向の情報交換だと思います。

そこで橋渡しができるのが患者さんご本人ではないでしょうか。治療のことと、職場のこと、両方を一番よく分かっているのはご本人。患者さんがご自分の状況をよく理解し、職場に説明できると、職場から支援を引き出しやすくなります。自分はどんな病気で、これからどういうスケジュールで治療するのか。予想される副作用やおよその期間はどうか。そのあたりを職場と共有できれば、その情報をもとにして職場も対応しやすくなりますよね。

けれど、そうなるには、医療者が病気の内容や治療法、副作用などを患者さんに分かりやすく説明することが必須です。そもそも病状について分かりやすく説明するのは医療者の務めですし、それが最大の就労支援にもなると思うのです。

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最終更新:8/24(土) 12:15
NIKKEI STYLE

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