ここから本文です

人類で初めて「月に降り立った男」の宇宙服は、こうしてデジタル技術で蘇った

8/24(土) 12:11配信

WIRED.jp

1969年7月16日、3人の男が「アポロ11号」で月に向かって飛び立った。彼らの宇宙服は現在、ワシントンD.Cのスミソニアン国立航空宇宙博物館(NASM)で保管されている。

「アポロ11号の宇宙服」を守る資金は、Kickstarterで

だが、どんなものであっても永遠には存続しない。ニール・アームストロング船長が人類として初めて月に降り立ったときに着ていた宇宙服は、劣化を防ぐために13年前から展示されていなかった。そして博物館は2015年7月、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で、本格的な修復のためのキャンペーンを開始したのである。

「Reboot the Suit(宇宙服を再起動せよ)」と銘打たれたこのキャンペーンでは、9,477人の支援者から計70万ドル(約7,400万円)を超える寄付が集まった。こうして“復活”したアームストロングの宇宙服は19年7月16日、アポロ11号の打ち上げからちょうど50年となる記念の日に公開された。当面は期間限定の展示だが、2022年にオープンするスミソニアンの常設展「Destination Moon(月を目指して)」の目玉として展示される予定だ。

X線や化学的手法も駆使した修復作業

アームストロングが着用した歴史的な宇宙服は、この博物館の所蔵品のなかでも特に繊細なアイテムといえる。その宇宙服を未来に向けて保存していくために、博物館はどう取り組んだのだろうか。

まず最初に、船外活動用グローヴの修復作業が15年に始まった。グローヴから取りかかったのは、宇宙服本体に取り組む前に修復テクニックを磨く狙いがあったという。

50枚ほどのX線画像によって宇宙服の状態が記録され、内部の状態が調査された。この宇宙服は1960年代の当時にも、品質管理のために開発途中や完成後にX線検査を受けている。いまも同じように最新の宇宙服のグローヴはX線検査されており、内部にピンが残っていないか検査する工程が設けられている。

博物館はさらに、CTスキャンによって宇宙服内部の鮮明な画像も撮影した。並行して化学分析を進めながら、宇宙服のさまざまな部位の保全作業を進めていった。例えば、宇宙服にあしらわれた米国旗のシルク繊維を安定化させ、さらなる退色を防ぐといった具合だ。

さらに、3Dプリントによってモジュール式のマネキンが制作された。これは展示の際に宇宙服を物理的に支えるだけなく、素材の劣化によって生じるガスが宇宙服に悪影響を及ぼさないようにする換気装置にもなっている。

1/2ページ

最終更新:8/24(土) 12:11
WIRED.jp

記事提供社からのご案内(外部サイト)

『WIRED Vol.34』

コンデナスト・ジャパン

2019年9月13日発売

1,200円(税込み)

『WIRED』日本版VOL.34「ナラティヴと実装」社会実装の可能性を探るべく、2020年代の実装論を総力特集

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

あわせて読みたい