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パンダに次ぐ人気の「ハシビロコウ」。人を夢中にさせる7つの秘密

8/25(日) 12:01配信

現代ビジネス

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その生態には未だ謎が多いとされる鳥、ハシビロコウ。コワモテにもかかわらず、上野動物園ではそのグッズの売れ行きはパンダに次ぐのだという。そんなハシビロコウに関する写真集『ハシビロコウのすべて』を監修した動物学者の今泉忠明氏が、その魅力について解説する。
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カラスも「目上のカラス」に忖度する?

 奇っ怪な風貌をした大型鳥類のハシビロコウが今、人気だ。1981年に静岡の伊豆シャボテン動物公園にやってきたのが日本では最初だったようだが、当初はまったく人気はなかった。動物園での人気動物はたいていが哺乳類であり、鳥類はめったなことでは人気者にはならないのである。

 2002年以降になって、いくつかの動物園にハシビロコウがやってきたことから人気に火がついた。ハシビロコウの展示の前を通りかかる人はほとんどその存在に気づかず、気づいても「ん? 彫刻か?」とつぶやいて通り過ぎる。それが生きていると気づいた人は、動物園の帰り際に、「あら、来た時と同じ格好をしている!」と驚く。

 動かないことで超有名になったハシビロコウ。今やパンダに次ぐ人気者だとか。

「動物は動くものが人気」が定説だった

 かつて上野動物園で人気動物のアンケートをとったことがある。細かいことを省けば、要するによく動く動物に人気が集中し、動かない動物はまったく人気がなかった。いつもグダグダとあられもない姿で寝ているライオンやトラといった猛獣をはじめ、コアラなどは人気がなかったのだ。「いつ行っても寝てる!」から不評だったのだが、それはもともとの夜行性動物だから仕方がない。

 ゾウ、キリン、シマウマなどはあっちへうろうろ、こっちへうろうろしているから、そこそこ人気があった。いや、この大形草食動物は体の構造上、横たわったら内臓で発生するガスが体外へ出ないから、最悪、死に至るから動かないわけにはいかないのである。

 圧倒的だったのはニホンザルのいる「サル山」だった。いつまで眺めていても飽きないのは、サルの行動が人間に似ていることで、これが一番人気の秘密である。赤んぼを背負った母ザル、子ザル同士の遊び。威張ったボスザルがメスに嫌われながらも、メスの後を追う姿。ときおり起こるメスザル同士の激しい喧嘩などが次々と繰り広げられるから、人間社会の縮図を見ているようで飽きないのである。

 巨大なカバはプールに潜ったまま背中の一部しか見えない、とひんしゅくを買った。古代エジプトでは「一瞬」とは、カバが水から顔を上げてあたりを警戒するのに必要な時間だったそうであるが、カバの顔を見ることができるのは、実に「一瞬」なのである。

 いかに動物園の面白さをアピールするか、大問題となった。各地の動物園でさまざまな妙案が試された。一番有名なのは北海道は旭山動物園の取り組みだろう。小さな動物園だが、動物が本来もっている行動や生態を引き出して見せる「行動展示」の手法を取り入れて、潜水するアザラシやカバを見せた。これが功を奏して入園者数が激増、ついには上野動物園を超えて日本一になったのである。

 以来、動く動物たちをいかにして見せるか、工夫が凝らされてきた。ところが、ここでハシビロコウの登場だ。まったく動かなくても人気がでるんだ、という驚きは動物園関係者もびっくりしたことだろう。あの奇っ怪な風貌をしたハシビロコウが人気者になったその秘密をここで解き明かそう。

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最終更新:8/25(日) 12:01
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