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「きのう何食べた?」内野聖陽が主演男優賞! 『続編では西島さんの「おいしぃーい♡」が見たい』【ドラマアカデミー賞】

8/25(日) 12:15配信

ザテレビジョン

ドラマ24「きのう何食べた?」(テレビ東京系)で弁護士の“シロさん”こと筧史朗(西島秀俊)と同棲している、美容師の“ケンジ”こと矢吹賢二を演じ、漫画家・よしながふみによる原作のイメージどおりだと絶賛された内野聖陽。その演技で新境地を見せ、第101回ザテレビョンドラマアカデミー賞・主演男優賞を受賞した彼が、作品の魅力などについて語ってくれた。

【写真を見る】うちの演じる乙女なケンジのキャラクターが話題に!

■ 原作ファンの方ごめんなさいのはずが…『「漫画にそっくり」と言われてびっくり』

――本作で初の主演男優賞を獲得されました。ご感想をお聞かせください。

本当に素晴らしい作品に出会えた上に、こんな賞までいただいて、とてもうれしい気持ちです。もともと原作漫画が話題作で、たくさんのファンがいらして、放送前からいろんなうわさも流れ…(笑)。いろいろな重圧がある中でやらなきゃいけない緊張感もありましたが、西島秀俊さんほかキャストの皆さんと、監督たちスタッフさんが、スケジュールもハードな中、ベストを尽くしてくれたと思います。男性同士のカップルの話であることをはじめ、僕自身、いろんな意味でこの作品に関わって教えられたところがあります。

――原作ファンからも「ケンジそのものだった」「かわいらしい仕草や動きがケンジらしかった」と絶賛されましたが、原作を読んでケンジをどう演じようと思いましたか?

まずビジュアルから原作のイメージを裏切らないようにしたかったけれど、原作のケンジはやっぱり女性の漫画家さんが描いたキャラクターなので、とてもシュッとしている(笑)。100%似せることは無理なので「ごめんなさい、原作ファンの方々」と思いました。でも、いざ蓋を開けてみたら、多くの人に「漫画にそっくり」と言われてびっくりしました。そう思っていただけたのは、スタッフの力が大きいんですよね。クランクイン前に番組ポスターを撮ったとき、僕はまだ前の仕事で違う役を演じていたのですが、スタッフさんがケンジらしいメガネや衣装を集めてくれて、あのビジュアルになりました。その現場には原作のよしながふみ先生も来てくださって「ばっちりです!」と言ってくださったので、ちょっと調子に乗りましたね(笑)。

――ドラマでは刑事役や医師役、戦国武将を演じてきた硬派なイメージの内野さんが“乙女”なケンジを演じるというギャップもありました。

撮影が始まった頃は、自分としても不安がありました。途中で「俺の思うケンジを演じよう」と開き直ってからは気持ちが楽になりましたけれど。とにかく西島さんが僕のケンジを楽しみにしてくれて、2人でセッションするのが楽しかったですね。ケンジとはどんな人物かと考えると、そもそも居候じゃないですか。お金に無頓着で貯金もしない人が、高収入の弁護士であるシロさんの家に転がり込んできた。そんなケンジにシロさんが「居ていいよ」と言うということは、シロさんにとってケンジは精神的に大切な存在なんだと思っていました。例えば、ケンジがシロさんの料理を本心からおいしそうに食べるとか、職場でカミングアウトしていないシロさんがいろんな葛藤を抱えてズタボロになって帰ってくるとき、おおらかな心で受け止めてあげるとか、そのあたりはシロさんよりもケンジのほうが大人。原作でもそんな関係性が描かれているんじゃないかと思って、そこをうまく出したいと考えました。

■ 回想の告白シーンは「こっちもうれしくなりました」

――男性カップルであることをどう演じようと思いましたか?

料理と食事のシーンに象徴されるように、男同士のカップルが自然に寄り添って自然体で暮らしているということが、今を生きる人たちを勇気づけられるかもしれない。「だからこそ、あまりゲイとして分かりやすい表現はやりたくないね」と最初に西島さんと話しました。もちろんリアルなカップルを考えれば、当然、キスなどのスキンシップはするだろうけれど、それはあえてやらず、そういう性的な表現に対してもほとんど禁じ手にしているところが、この作品が受け入れられた一つの要因なのかなと思います。

――しかし、シロさんとケンジのラブラブなやり取りを見ていると、内野さんが原作より踏み込んで性的なことを匂わせようとしているように見えました。

実はそうなんです。暗示的な部分ではそういうのがないとおかしいと思って、寝室の2人を想像させるようなことを常にやらかそうとしていました。撮影したのはスタジオセットではなく、実際のマンションだったので、「ベッドルームがあるんだから、このまま行っちゃいけない?」と芝居を続けると、「それはやりすぎ」と言われたり…。そういう部分はベールに包む方針だったので、「じゃあ、最終話の(ケンジがシロさんの髪を切り後ろから抱きしめる)ハグは大事だね」という話をして、そこはこだわりましたけれどね。あの場面は向き合ってキスしてもいいぐらいだけれど、西島さんや監督と話し、このあたりだろうというところに落ち着いたんです。2人でエビチリを作るラストシーンも、中江和仁監督から「台本の続きの会話を作って」と急に言われたので、「(エビの)おしりがプリプリ」とかくだらないこと言って一人で楽しんでたり(笑)。僕の演じるケンジってそういうこと言いそうじゃないですか。原作のケンジは言わないかもしれないけれど(笑)。

――そういったコミカルな場面では、見る人を笑わせようと意識していましたか? 第4話の回想部分では、シロさんがシャンプーをするとき顔に布をかけたまま「うち来る?」と言う場面でのケンジのリアクションが面白かったです。

僕は自分についても他人の演技でも、笑わせようというのが出過ぎると白けちゃうんです。ふっと笑えるぐらいが好き。だから、女性的な動作をすることでの面白さは意識せず、ケンジとして真剣にやれば自然に面白くなるだろうと思っていました。あのシーンも、原作や台本を読んで「人生最大の勇気を出しての告白なんて、すごくすてきだな」と思っていたから、演じるのはプレッシャーだったんです。でも、実際にやってみたら、西島さんが息をするたびに布が顔に張り付いて、心拍数の上がっている感じがすごく伝わってきて「緊張して告ってくれたのね」と思うと、こっちもうれしくなりました。それでドキドキして後ずさり壁にひっついちゃったのですが、そういう真面目にやったがゆえの無意識のアクションを、監督たちがうまく拾ってくれましたね。

■ 続編をやるなら「役を交代してみてもいいかな?」

――泣かせるシーンでは、第10話でシロさんの浮気を心配し、小日向(山本耕史)と食事に行かないでと訴えるシーンが圧巻でした。

ケンジが言っていたとおり、大事な人がいるのに他の誰かに心が動いてしまう瞬間って、誰にでもあるでしょう。これが男女のドラマならありがちなシチュエーションでくどいけれど、男同士がやるからスッと入って来るのかも。西島さんともよく「このドラマは男同士だからこそ伝わるものってあるよね、そこが新しいよね」と話していました。また、今の時代、人間関係がぎすぎすしているけれど、そういうときに本当に好きな人とナチュラルに生活するという物語が今の人の琴線にふれたのでは。家族が一緒に食事をして喜びを分かち合うことは大事なのに、忘れさられている節もあるじゃないですか。だからこそ、シロさんとケンジが食事をする描写が際立っていたと思いますね。

――シロさんやケンジが作る料理がおいしそうだと評判になりました。内野さんのお気に入りメニューはどれですか?

出てきた料理はぜんぶおいしいですよ。原作者のよしながさんは家庭料理の研究家でもあるなと感心しました。その中でも印象的なのはクリスマスディナーの「ラザニア」。僕がプライベートでも作っているのは「明太子のサワークリームディップ」。これが超カンタンで超ウマいんです。どれもスーパーにある食材で作れますし、この作品で僕も料理にまめになって“ウチめし”にハマりました。僕ぐらいから上の年齢の男は、まだ「男子、厨房に入らず」という意識が残っている世代で、そう考えると、すごい変化ですよね。

――もし続編が作られるとしたら、またケンジを演じたいですか? 

「もちろん」と言うところですが、今度はシロさんを演じてみたいですね。ケンジってO型的な性格というか、おおらかで細かいことを気にしないようなイメージなんですよ。ところが僕はAB型なので、細かくてパーフェクトを求めるシロさんのほうが実は分かりやすい。だから役を交代してみてもいいかな? 皆さんも西島さんのケンジを見たくないですか? 僕は西島さんが「おいしぃーい♡」「あまじょっぱい~♡」って言うのを見たいです(笑)。(ザテレビジョン・取材・文=小田慶子)

最終更新:8/25(日) 12:15
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