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値上げの時こそ、逃してはならないお客さまを把握しよう!

8/26(月) 5:00配信

商業界オンライン

購入頻度が高いものに共通すること

  さて問題。図表(1)に『食品部門で購入頻度が高い品目 Top10』を表示したが、このうち「牛乳」「ヨーグルト」「液体茶」「冷凍調理」「スナック」に共通することは、一体なにか?

図表(1) 食品部門で購入頻度の高い品目 Top10(年間購入回数)

 これらは2019年3月以降に値上げをした品目である。19年10月の消費税増税を前に、食品を中心にメーカー各社がこの春、値上げを敢行した。

 19年3月前後の価格変動実態を、スーパーマーケット(SM)、コンビニエンスストア(CVS)、ドラッグストア(Dg.S)、大型小売店(GMS)をカバーした全国約4000店舗のPOSデータに基づき算出した経済指標「SRI一橋消費者購買指数」(注1)で確認すると、確かに2019年3月から7月にかけて急激に上昇していることが分かる(図表(2))。また指数上昇への寄与度を分析してみると「牛乳」「液体茶」「ヨーグルト」の影響が上位(図表(3))であり、多くの消費者が、価格に敏感になってきていることもうかがえる。

 この値上げの主な理由は「原材料の高騰」「物流費の高騰」「人件費の高騰」とされる。メーカーを取り巻く環境も厳しく、今後も「高騰」の流れ、それに伴う「値上げ」の流れを変えられそうにない。ではそんな中、お客さまに選ばれる店・売場にしていくには、SMとしてどのような手を打てば良いのだろうか。今回は、値上げ前後の消費者の行動から解決の糸口を見つけていきたい。

図表(2)「消費者購買単価指数」の推移

図表(3)「消費者購買単価指数」品目別寄与度

消費者がドラッグストアに流れているわけ

 消費者の行動変化を把握するために、弊社の消費者パネルデータベース「SCI」を見ていく。「SCI」は、全国15歳~79歳の男女5万2500人の消費者から継続的に収集している日々の買物データであり、食品、飲料、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコなど、バーコードが付与された商品について、「誰が・いつ・どこで・何を・いくつ・いくらで、購入したのか」という消費者の購買実態を捉えることができる。

 19年1月から6月までのSM、CVS、Dg.Sの買上回数・点数の推移を見る(図表(4))と、Dg.Sは前年を上回り好調に推移。一方、SMは3月を除き回数・点数ともに前年を下回り、特に点数での落ち込みが4月以降大きくなってきている。果たしてこのSMにおける落ち込みは、食品の値上げの影響によるものだろうか?

 そこで、単価指数への影響が大きかった「牛乳」「ヨーグルト」での動向を見てみる(図表(5))。「牛乳」は、CVS、Dg.Sでは1-3月、4-6月ともに回数・点数で前年を上回っているが、SMでは1-3月、4-6月ともに前年を下回っており、4-6月ではさらに落ち込んでいる。「ヨーグルト」は、Dg.Sでは1-3月、4-6月ともに回数・点数で前年を上回っているものの、SMでは回数・点数ともに、1-3月こそ前年を上回ったものの、4-6月では前年を下回る状況となっている。単価の変化をSMはもろに受けていることが分かる。

 次に、SMとDg.Sでは、販売価格帯にどういう違いがあるか(図表(6))を見てみると、基本的にSMよりDg.Sの方が安い。品揃えの違いもあるが、Dg.Sの方が牛乳では20円程度、ヨーグルトでは10円程度ほど安くなっているなど、消費者にとってのこの販売価格帯の差は、SMの使い方に少なからず影響を与えていると考えた方がいい。

図表(4) 買物全体での買上回数・買上点数の前年比

図表(5) 牛乳、ヨーグルトでのレシート枚数・買上げ点数の前年比

図表(6) 牛乳、ヨーグルトの値上げ後のSMとDg.Sの販売価格帯比較

【牛乳 値上げ後のSMとDg.Sの比較】

【ヨーグルト 値上げ後のSMとDg.sの比較】

 次に、SMの使い方に変化があったかを弊社SCIを使って業態間のシェア流出入という視点から確認する。SCIは同一モニターが「いつ」「どこで」「何を」「いくつ」「いくらで買ったか」を日々記録しているため、同じ人の業態間の買い回り変化を見ることが可能だ。

 図表(7)はヨーグルトにおける購入回数の業態別シェア推移を示している。2019年4-6月期では、SMからDg.Sへ対前年同期で0.7ポイント流出。つまり値上げ後、ヨーグルトを買う場合は、SMではなくDg.Sを選択していることが分かる。そしてこの傾向は、牛乳でも同じであった。

図表(7)【ヨーグルト】購入回数シェアの業態間の変動実態(SCI)

 Dg.Sの中には、売上げの約6割を食品が占めるチェーンもあり、各社食品の取り扱いを強化してきている。また最近は品揃えや利便性を価値として提供する企業も増えてきてはいるが、やはり食品の価格の安さはDg.Sの魅力的な要素の1つである。そして今回のような値上げは、ますます業態間の垣根を低くし、業態間競争を激しくしていることが分かる。

 では、このような厳しい状況下でSMはどう戦うべきか? 対抗価格でギリギリの値付けで勝負することも1つの方法ではあるが、価格だけでは体力勝負。人口減によるマーケット縮小が確実な中、価格だけによらないお客さまをつかまえる施策をぜひ考えたい。ここからは、「お客さまの特徴」に焦点をあてて、SMにとってどのようにお客さまをつかまえ離さないか、そのための施策のヒントをご紹介したい。

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最終更新:8/26(月) 5:00
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