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米中報復関税の応酬再び

8/26(月) 9:05配信

NRI研究員の時事解説

トランプ政権は中国経済との関係を解消していく考えか

先週末には、米中貿易戦争が一段と激化し、世界の金融市場に動揺が広まった。23日には中国が、750億ドル分の米国製品に追加関税を課すことを発表した。これは、米国が中国からの輸入品3,000億ドル分に関税を課すことへの報復措置だ。中国は、米国が対中関税を発動するのと同じ9月1日と12月15日の2段階に分けて、新たな関税措置を発動する。

この措置に対抗して、米トランプ政権は、向こう数カ月に対中関税を最大30%に引き上げる方針を示した。10月1日から、2,500億ドル相当の中国製品に対する追加関税率を現行の25%から30%に引き上げる。また、9月1日から発動予定の中国からの輸入品3,000億ドル分への新たな追加関税についても、税率を10%から15%へと引き上げる。米中間での追加関税の報復の応酬が、再び強まっている。

さらにトランプ大統領は、中国で事業を展開する米企業に対し、事業の移転を検討すべきと述べ、また、「われわれは中国を必要としていない。正直いって、いない方がはるかにいい」とツイッターに投稿したのである。これらの発言は、米中間でのサプライチェーンを分断し、両国間の経済関係を解消していく考えを示しているだろう。

トランプ大統領は、追加関税等の圧力を通じて、国有企業、政府補助金などに象徴される中国の国家資本主義という体制を変える米中合意を目指してきたが、それをあきらめつつあるのではないか。少なくとも、来年大統領選挙までに合意に至るという見通しが難しいと考えているのではないか。

中国側の大幅な譲歩を引き出すことで米中貿易合意に至れば、それはトランプ大統領にとっては大きな成果であり、大統領選挙での再選を後押しするだろう。しかし、それが難しい場合、米国側が譲歩する形で米中貿易合意という流れとなれば、政治的には大きな失点となりかねない。

そのため、早期の米中合意を目指すのではなく、対中強硬姿勢を維持あるいは強化しつつ、大統領選挙に突入していくとの戦略に、トランプ大統領は傾いているのかもしれない。今後も、対中追加関税率の小刻みな引き上げを通じて、対中強硬姿勢を国内にアピールし続けるのではないか。

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最終更新:8/26(月) 9:05
NRI研究員の時事解説

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