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なぜ女性だと「インフルエンサー」と呼ばれ、男性は「クリエイター」なのか?

8/26(月) 8:11配信

WIRED.jp

「ソーシャルメディアのインフルエンサー」であることと、その活動内容やオーディエンスの規模には何の関係もない。インフルエンサーとは、かつて商品を売りつけることができるフォロワーの数が100万以上と膨大である人のことを意味した。

横行する倫理なき「インフルエンサーマーケティング」

ところがその後、マーケターたちはインフルエンサーの意味を拡大解釈して、接頭語をあれこれつけ始めた。「マクロ・インフルエンサー」に「マイクロ・インフルエンサー」、果てはフォロワー数が1,000人ほどの「ナノ・インフルエンサー」なる呼び方まで編み出したのだ。

インフルエンサーは、もはやジャンルの枠にも限定されていない。美容やライフスタイルを売りにする標準的なインフルエンサーが存在する一方で、レストランのインフルエンサー、不動産のインフルエンサー、ペットのインフルエンサーなども登場している。

ところで、自分のオンラインでの名声を「インフルエンス(影響力)」だと思ってもらいたい場合、確実な方法がひとつだけある。それは「女性であること」だ。

一方で、インターネット上の男性の多くは何が何でもインフルエンサーと呼ばれることを避けるだろう。たとえインフルエンサーという呼称が、ブランドの構築や「#sponsored」タグの獲得、製品や自分のプロモーションなど、自分が取り組んでいる仕事の定義に合致する場合であってもだ。

なぜ「インフルエンサー」という呼び名は嫌われる?

男性たちは「デジタル・コンテンツ・クリエイター」や「コンテンツ・プロデューサー」といった呼称、あるいは「ゲーマー」のように業界を特定した呼び名を好む。その理由はたいてい、自分自身をアーティストかエンターテインメント業界の人間だとみなしているからである。もしくは、何人かのコンテンツ・クリエイターとエージェントが明かしてくれたように、「インフルエンサー」という表現自体を心底嫌っているだけという場合もある。

女性でもその呼び名を嫌っている人は多い。だが、こうしたクリエイターを話題にする際に、人々は一般的に広く浸透している前提に目を向けている。つまり、“メイク男子”として知られるジェームズ・チャールズは「男性の」美容インフルエンサーである。そして動画プラットフォーム「Twitch」で自分のヴィデオゲームをストリーミング配信している女性たちは、「女性の」ゲーマーなのだ。

こういった呼び方に注目する人は少ないもしれない。しかし、インターネット上では特に言葉は重要だ。どういう人だとみなされるかは、大きなインパクトをもちうる。

セルフブランディングにおいては、言葉と内実の差が避けられない。誰もが好きなように名乗ることができるからだ。それに「インフルエンサー」という呼び名に抵抗を覚える人には理由がある。金儲け主義の企業にありがちな紋切り型の表現だし、なぜかものすごい数の人が「インフルエンサー」を名乗っているからだ(自作の芸術的創作を「コンテンツ」と呼ぶことも、自分がマーケティングロボットになったように感じるものだ)。

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最終更新:8/26(月) 8:11
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