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なぜ女性だと「インフルエンサー」と呼ばれ、男性は「クリエイター」なのか?

8/26(月) 8:11配信

WIRED.jp

ジェンダーにまつわる差異がもたらすこと

こうしたジェンダーにまつわる傾向は、それ自体であればたいした意味をもたないのかもしれない。ただし、アビディンが出会ったゲーマーたちのように、そこに判断を加え、ある用語のほうに優越感をもたせる場合は別だ。

ネットセレブたちはどのように呼ばれようとも、文化的な影響力がある。そのふるまいや行動の流行は、波紋のように広がっていく。オーディエンスへ、そのオーディエンスに商品を売りたい企業へ、そしてインフルエンサーの世界を解明しようとする研究者たちへとだ。

ネットセレブの間に存在するジェンダーにまつわる差は、すでにネットセレブたちを研究する者たちに大きな影響を与えている。ニボーグは「ゲーミング研究の状況についてプレゼンテーションをしなければならないのですが、そのなかで引用元として挙げているのが男性だけであることに気がつきました」と言う。「その理由? ゲーミング業界が男性優位の分野だからです。だから研究者も、ほとんどがわたしのような白人男性なのです」

一方、インターネット上の女性、つまりインフルエンサーやソーシャルメディアのセレブリティに関する研究は、ほとんどが女性の手で行われている。そして、そうした女性研究者たちは、ほかの女性を引用しがちだ。

研究者でも異なる視点

しかし、ダフィとアビディン双方の指摘によると、男性の研究仲間は彼女たちと同種の研究をしている場合でも、自らについて「業界やプラットフォームの研究者」と捉える傾向がある。「不正確というわけではありませんが、拡大解釈された表現です」とアビディンは言う。

研究の興味対象に関して、アイデンティティに基づいた差異があることが問題というわけではない。これは学術分野におけるインクルージョンを問う議論なのだ。ダフィとニボーグは共同研究者であり、ふたつの切り口からひとつの問題に取り組んでいる。

「ダフィが使う言葉のほうが、ソーシャルメディアプラットフォームで自らを表明する人々の言葉にはるかに深く根差しています。彼女が研究対象にしている人たちの話題はカルチャーなのです」と、ニボーグは言う。「一方で、わたしの研究における『インフルエンサー』とは、金銭や経済学、広告といったことを覆い隠す業界用語です。わたし自身は金銭や経済学、広告といったことに関心をもっています」

インフルエンサーはジェンダーを問わず、自らを「データ抽出ファシリテーター」と呼んでもいいのではないかとニボーグは考えている。そのほうが面白いうえ、価値のある視点でもある。

問題が生じるのは、こうした緩いトレンドが、性差別か研究のいずれかによって厳密に分割されてしまったときだ。そして、そうした状態はすでに起きているのかもしれない。

「わたしはインターネットカルチャーの研究で苦労しています。問題を突き詰めると、研究対象を探すことなのです」と、ダフィは言う。「女性インフルエンサーは別の女性インフルエンサーを紹介してくれます。でも、男性からは返事が来ないのです」

記事で引用するために男性のインフルエンサーや男性研究者を探す際にも、同じようなことが起きる。学者を探すとなるとさらに難しくなるが、それは選ぶキーワードのせいだ。ソーシャルメディアやデジタルカルチャー、インフルエンサーについての論文を調べるときに、学術用検索サイト「Google Scholar」で、「プラットフォーム研究」をする研究者を探してみようと思ったことは、これまでなかった。

わたし自身が女性であるため、いつのまにか女性としてコード化された興味関心について質問し、その際には女性としてコード化された言葉を使っていた。そこから得られる結果は女性であり、彼女たちはほかの女性と話すよう勧めてきたのである。

従って、インターネットカルチャーに関するわたしの記事では、常に男性よりも女性の言葉をより多く引用するようになっていた。その理由を、いまようやく理解した。専門家たちもそうなのだ。こうした問題をどうしていったらいいのか、われわれが知っていればいいのに、と思うばかりだ。

EMMA GREY ELLIS

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最終更新:8/26(月) 8:11
WIRED.jp

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