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「全部、俺のものだ」遺言書の書直しを命令した長男…結末は?

8/26(月) 8:00配信

幻冬舎ゴールドオンライン

夫婦のうち一方の死亡に伴う、残された配偶者と子供による相続を「一次相続」、そして一次相続後、残された配偶者の死亡に伴う子供による相続を「二次相続」といいます。どちらも、しっかり対策を行わないと、泥沼の「争続」に発展しかねません。そこで本記事では、税理士の廣田龍介氏が、実際に携わった相続争いの事例を紹介します。

万全の相続対策をしていた母親だったが…

一次相続で山手線圏内の駅近くに150坪ほどの土地と建物を引き継いだ母親がいました。子どもは長男、長女、次女で、長男一家は母親と住んでいましたが、実際に日常の世話をしているのは長女、次女でした。

母親は不動産に明るく、相続のことも考えていたので、資産ごとに受け継ぐ子の名前が明記されている遺言書をこっそり書いていました。というのも、長男は父親が亡くなった一次相続の時から「全部、俺のものだ」と主張しており、母親は自分が亡き後に長男がどのような行動を取るか想像しての対策だったのでしょう。

その遺言書を、ある日、長男は母親の部屋から見つけて読んでしまったのです。そしてその遺言書に書かれている自分の持ち分に納得がいかず、それから母親を脅すようにして、何度も遺言書を書き直させました。実際、長男が母親に書かせた遺言書が何通も見つかっており、日付が新しくなる度に長男の持ち分が多くなっていました。長男と長女・次女との交流は母親が存命中からすでになくなっていたので、遺産分割について話し合うどころではありません。

そんな状況が続いている中、ついに母親は亡くなります。高齢だったのでもともといつどうなるかわからない様子ではあったのですが、長男がその場に居合わせたため、「何かあったのか」と長女・次女は不審に思っていました。長男はここぞとばかりに遺言書を振りかざし、その通りに分けるよう主張しますが、長女・次女は事実を解明しようと弁護士を入れ、「相続人の欠格事由」と「遺言書無効の訴え」で争う姿勢を見せました。

最終的には長女、次女が折れ、いくばくかのお金で解決となりましたが、あれだけもめてしまったので兄と妹たちは縁を切った状態となり、今後も付き合うことはなさそうです。

相続から少しして、すべてが長男のものとなったその土地を見にいくと、自宅は壊され、ブルドーザーが入っていました。デベロッパーに土地を売ったのか、ご自身がビルを建てるのかその後のことは定かではありません。

長男も、家督相続という考え方の中で、長男として財産を承継し、それを次世代にも承継させるつもりだったのかもしれませんが、これが故人の希望するものだったのかは外野から見ていて疑問が残ります。

これは極端な例と思われるかもしれません。しかし、現代ではこのように自分以外の家族のことを考えずに、自分の権利ばかりを主張する相続が増えてきていると私は感じます。この事例のような争いまで発展せずとも、根本のところでは、権利の主張がもめ事の引き金になっているケースが多くなっているのです。

なぜ、現代では権利ばかりを主張するようになってしまうのか。一概に言えることではないかもしれませんが、私は、核家族化が進み、一緒に暮らさないことで家族との絆を深める機会が少なくなったのが一因ではないかと考えています。

家族との関係性が薄いままでいることが、相続で問題を引き起こしてしまいます。ますます家族の絆が必要な時代が来ているといえるのではないでしょうか。

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最終更新:8/26(月) 8:00
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