ここから本文です

10年以内の死亡率を予測できる血液中のバイオマーカーが特定される

8/27(火) 18:21配信

ニューズウィーク日本版

──男女4万名から血液サンプルを採集、最長16年8ヶ月にわたって追跡調査

血液検査で余命が予測できる──。欧州の研究チームは、今後5年から10年以内の死亡率を予測できるヒトの血液中のバイオマーカー(生物指標化合物)を特定した。

■ 動画の解説はこちら

独マックス・プランク研究所、蘭ライデン大学、フィンランドのオウル大学の共同研究チームは、4万4168名の血液サンプルを分析し、全死因死亡率(原因を問わない死亡率)に関連するバイオマーカー14種類の特定に成功した。一連の研究成果は、2019年8月20日にオープンアクセス誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で公開されている。

■ 男女4万名から血液サンプルを採集、最長16年8ヶ月にわたって追跡調査

研究チームでは、18歳から109歳までのヨーロッパ人の男女4万4168名から血液サンプルを採集し、最長16年8ヶ月にわたって追跡調査を実施。追跡期間中に5512名が死亡した。血液に含まれる226種類の代謝物バイオマーカーと全死因死亡率との関連性を分析した結果、14種類が独立して死亡率と関連していることがわかった。

たとえば、超低比重リポ蛋白質(VLDL)の粒子の平均半径が大きく、総脂肪酸に対する多価不飽和脂肪酸の比率や、必須アミノ酸のヒスチジン、ロイシン、バリンの濃度、アルブミンの濃度が高いと死亡率は低くなる一方、血糖値や、乳酸、イソロイシン、フェニルアラニン、アセト酢酸の濃度が高ければ死亡率は高くなる。

研究チームは、これら14種類のバイオマーカーが実際の死亡リスクを示すのかどうか検証するため、1997年に検査したフィンランド人の患者7603名を対象に分析を行った。被験者のうち1213名は1997年の検査後に死亡している。その結果、14種類のバイオマーカーは約83%の精度で5年から10年以内の死亡率を予測した。この予測精度は、従来の危険因子による予測よりも高い。

■ 高齢者の個別治療に向けた第一歩として

このような血液検査による余命予測は、高齢者の個別治療に向けた第一歩として役立つと期待が寄せられている。

研究論文の責任著者でライデン大学のエリーネ・スラグブーム教授は「暦年齢で一概に高齢者の健康状態を語ることはできない。70歳で健康な人もいれば、複数の疾病にかかっている人もいる」とし、「この血液検査で脆弱な状態にある高齢者を特定できれば、これを見込んだ治療が可能となる。また、新薬が死亡リスクにどの程度の影響をもたらすかを検証するうえでも、この血液検査は役立つだろう」と述べている。

松岡由希子

最終更新:8/27(火) 18:21
ニューズウィーク日本版

記事提供社からのご案内(外部サイト)

ニューズウィーク日本版

CCCメディアハウス

2019-9・24号
9/18発売

460円(税込)

【特集】日本と韓国 悪いのはどちらか
終わりなき争いを続ける日本と韓国── 泥沼の関係に陥った本当の原因と「出口」を考える

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事