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トランプの顔に泥を塗った文在寅 米韓同盟はいつまで持つのか

8/27(火) 18:00配信

デイリー新潮

 日本とのGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄し、米国の面子を潰した文在寅(ムン・ジェイン)政権。取りざたされ始めた「米韓同盟消滅」を、韓国観察者の鈴置高史氏に聞いた。

亀裂はとっくに入っている

――米韓同盟は果たして存続するのでしょうか? 

鈴置: 8月23日、韓国がGSOMIA破棄を日本に通告して以来、多くの人から同じ質問を受けています。『米韓同盟消滅』という本を昨年10月に出版していたためです。

 韓国は朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2016年11月に、日本とGSOMIAを結びました。「日米韓」の安保協力強化を狙う米国が間を取り持ちました。それを韓国が破棄したのですから日本や米国はもちろん、世界が「米韓同盟に亀裂が入った」と見ました。

 文在寅政権と韓国の左派だけが「米韓同盟は相変わらず堅固だ」と言い張っています。それを信じる人は韓国でもほとんどいないでしょうが。

「米韓同盟は崩壊の過程にある」と指摘した。『米韓同盟消滅』を読んでくれていた人々が「やはり、そうだったのだ。では、いつ同盟は消滅するのか」と疑問を抱き、聞いてくるのです。

 ひとことで答えれば、米韓同盟がこの事件によって壊れる可能性は低いと思います。ヒビが入ったことは確かですが、すでにもっと大きな亀裂が入っていたからです。

 8月25日のフランスでの日米首脳会談で「GSOMIA」が話題にのぼらなかったのも、外交関係者の間では「大ニュース」でない証拠です。

「共通の敵」がなくなった米韓

――「もう亀裂は入っているから」とはトリッキーな答えですね。

鈴置: 奇をてらっているわけではありません。「事実」がそうなのです。米国と韓国はすでに別居状態にあります。内情を知る人は「いつ、正式に分かれるのかな」といった感じで眺めていたのです。そんな状態の夫婦が口げんかしても、大勢に影響はありません。

 米国との同盟を打ち切るつもりの文在寅政権が、GSOMIAを一方的に破棄したのは「予定のコース」です。米韓同盟だってやめるつもりですから、同盟国でもない日本との軍事協定を続けるのはおかしいのです。

 2017年の大統領選挙でも、文在寅候補はGSOMIAの再検討を公約していた。ただ、米国との関係悪化を恐れ、直ちには動けなかった。それが今回、「信用できない日本」を口実に破棄できるようになったので実行した、ということに過ぎません。

『米韓同盟消滅』に沿って米韓関係をおさらいします。2010年頃から、米国の安保専門家が日本の信頼できるカウンターパートに対し「米韓同盟はもう、持たない。長くてあと20年だ」と漏らし始めました。

 私も2013年に米国の専門家に「米韓同盟はいつ消滅すると思うか」と聞いたところ「今すぐではない。しかしそんなに遠い先ではない」との答えが返ってきました。『米韓同盟消滅』の第1章第2節「『根腐れ』は20世紀末から始まっていた」をご覧下さい。

 理由は簡単です。米韓の「共通の敵」が消滅し始めたからです。1992年8月の中韓国交樹立以降、韓国は急速に中国に接近しました。21世紀に入り中国の台頭がはっきりすると、韓国は中国の言うなりになりました。

 保守政権か、左派政権か、には関係ありません。経済的な関係が急速に深まって、2007年頃から韓国の対中輸出額は、対米・対日輸出を足した額よりも大きくなったからです。

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最終更新:8/31(土) 13:21
デイリー新潮

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