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オピオイド中毒で米J&Jに制裁金、薬依存の背景は

8/27(火) 18:00配信

日経ビジネス

 8月26日、米オクラホマ州地方裁判所は処方鎮痛剤に含まれる医療用麻薬「オピオイド」中毒の蔓延を巡り、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)に5億7200万ドルの制裁金を支払うよう命じた。

【写真】ウェストバージニア州都チャールストンの、ドラッグ中毒者のための更生施設

 J&Jはオピオイド系鎮痛剤の危険性を十分に説明せず、オピオイドの蔓延を助長したとして、米パーデュー・ファーマやイスラエルのテバ・ファーマシューティカルズ・インターナショナルとともにオクラホマ州検察から訴えられていた。J&Jはオピオイド系鎮痛薬市場に占める割合は1%以下と主張していたが、主張は退けられた。同社は控訴する意向を示している。

 オピオイド中毒の根は深い。

 米国赴任時代、オピオイドの取材でウェストバージニア州の小学校やリカバリーセンターを訪れたことがある。その小学校では両親がオピオイド中毒で育児不能になり、全校生徒の3分の1が祖父母や里親の元で育てられていた。リカバリーセンターにいた女性はコミュニティーカレッジのパーティーでマリフアナにはまり、コカインやオピオイドの依存症になっていた。

 連載「アメリカのリアル」の「失業、ドラッグ、家族崩壊のデススパイラル」(関連記事参照)で描いたように、オピオイド中毒が蔓延したのは強欲な医師による安易な処方であり、軽い頭痛にも鎮痛剤を頼る薬依存の国民性にある。ただ、そういった医薬品に依存する状況をつくったのは強力なロビー活動を進める製薬会社だ。

 治らなかった病を治し、人の命を救う医薬品は貴いが、薬の売り上げを増やすために病気をつくり、不要な薬をばらまいてきたという面も否定できない。今回の裁判は控訴審に委ねられるが、どういう結果が出たとしても製薬業界全体に対する逆風が止むことはないだろう。

篠原 匡

最終更新:8/27(火) 18:00
日経ビジネス

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