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「貧困なのに専業主婦」をあえて選択した人の幸福度が案外高いのはなぜか

8/28(水) 7:30配信

Book Bang

 本書はいわゆる「専業主婦」と呼ばれる人々の実態を明らかにした画期的なものである。今まで漠然と存在した「専業主婦」という社会通念、固定観念が崩壊することは必至であり、問題提起をおこなった著者に敬意を表したい。

 かつて「専業主婦」は、日本の高度経済成長を支える「陰の主役」であり、仕事に専念する夫の「サイレントパートナー」と言われた。家事、子どもや夫の世話、家族の介護、学校や地域社会の見回り役などを一手に引き受け、夫が仕事に専念できるように努めてきた。

 日本の家庭において専業主婦が主流だったのは昔の話で、以前と比べると共働き世帯が増えている印象を持つ人が多いのではないだろうか。実態としても専業主婦世帯よりも夫婦共働き世帯が多く、その数も逆転している。現在の専業主婦は、夫の収入が高い、少数の裕福な家庭に限られていると見られていた。「あなたはいいわね。夫が高給取りで働かなくてもいいんだから」と。しかし、著者は調査結果から、専業主婦のうち約8人に1人が貧困に陥っており、妻がパートの共働き世帯(貧困率9%)よりも貧困であるというデータを導き出す。前述した「専業主婦=高収入男性の妻」というイメージが崩れた瞬間である。

 本書は、これまでにほとんど調査研究が存在していなかった専業主婦の貧困問題について、2011年から2016年までの「子育て世帯全国調査」をもとに、独自研究を行い、「貧困なのに専業主婦」の疑問点を一つずつ解き明かしている。登場する6名の「貧困専業主婦」のケースから、女性が専業主婦になる理由は、「自己都合型」と「不本意型」の大きく二つに分けられるという。

 自身が抱えるうつ病や子どもの障害、職場環境に適応できず再就職するも継続することが難しいと嘆く主婦。世帯収入は、国の貧困線を大きく下回っているのに、車を所有しているとの理由で生活保護を受けることもできないなど、働きたくても働けない「やむをえない理由」をもつ主婦。

 自分の給料と子どもの保育料とのつり合いがとれないから働かないなど、「貧困なのに専業主婦」をあえて選択した人もいる。働きに出れば、無料もしくは極めて安い保育料で認可保育所を利用できるのに、自らその権利を放棄している貧困・低収入家庭の専業主婦も大勢いる。
「子どものためには家庭に入る方がいい」、「子どもが小さいうちは、経済状況が多少苦しくても、専業主婦でいる方が『子どものため』になる」。そう信じている日本人は今も少なくない。

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最終更新:8/28(水) 12:24
Book Bang

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