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角川春樹が断言「この本は間違いなく成功する」 書店の反発を恐れた、早見和真の小説とは?

8/29(木) 7:00配信

Book Bang

書店を舞台にした痛快コメディ&ミステリー誕生

角川春樹(以下、角川) これ、傑作だよ。早見の作品の中で一番いい。力を入れて書いていると言っていたけど、その力の入れどころと抜きどころのバランスがうまく取れているなと感じたね。『小説王』も素晴らしかったけれど、それを見事に超えた作品になった。

早見和真(以下、早見) ありがとうございます。ただ、「ランティエ」の連載一回目を読んだ春樹さんの反応はあまり良くなかったと伺いましたが。

角川 これはまとめて読むべきだと思ったからね。ミステリーを書いてほしいとオファーしたけど、一話だけではその展開が読めなかった。まぁ、店長のバカさ加減は見えたけどさ(笑)。今回は特にユーモアが効いてるなぁと思うんだよ。

早見 春樹さんが僕に何を期待してくれているのかは意識しました。結果、言われたままストレートには書きたくないなと。僕は毎回違うものを書くとよく言われるんですが、その中でも「笑い」だけはずっと避けてきたんです。文章で書く笑いほど難しいものはないと自覚していたので。でも一方で、自分は人を笑わせたいという思いが強い小説家だという気持ちもありました。だから、今まで手を出してこなかったコメディをちゃんとやりたいと。そこにミステリー的な要素、それもさらなる笑いに昇華できるような仕掛けをプラスして、うまく融合できないだろうかというのが今回のスタートだったんです。

角川 そうか。新境地だね。今までも笑いがなかったわけではないけれど、今回は一巻を通して笑える。コメディというのは小説に限らず、映画もそうだけど難しいからね。

早見 でも、春樹さんが好きではないタイプの小説ですよね? 男臭さがどこにもない。

角川 おい、なんか勘違いしてないか(笑)。

早見 でも、一般の方が思う“角川春樹”のイメージってやっぱりそっちですよ。

角川 そう言われればそうかもしれないけどさ。俺が気になったのはタイトルだよ。最初に聞いたときは、おいおい、大丈夫かいなと。書店の反発をまず恐れた。

早見 いえ、タイトルには自信がありました。春樹さんからノーと言われても、ここは突っぱねていたと思います。

角川 通して読むと、このタイトルが後々生きてくるんだよな。まさか、あんな仕掛けがあったとはね、想定外だよ。それに主人公もいいなぁ。

早見 僕はこれまで書店員さんとかなり距離を置いて接してきたんです。本屋大賞に対して迎合していると思われるのが極度に怖かったから。ただ愛媛に引っ越したのを機にいろんなことに心を開いていこうと決めて、書店員さんとも向き合いたいと思いました。そうして出会った心ある書店員さんから聞いた話が鮮烈で、問題の本質も孕んでいると思いました。その人がモデルというわけではないんですけど。

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最終更新:8/29(木) 7:00
Book Bang

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