ここから本文です

その利益は誰のもの? 音楽配信で止まらない「偽物」の不正アップロードが浮き彫りにしたこと

9/1(日) 12:11配信

WIRED.jp

音楽ストリーミングサーヴィスの「Spotify」で今春、Lil Kambo(リル・カンボ)という名のラッパーが「Kid Carti」という曲で200万回のストリーミング再生を達成した。メジャーレーベルに所属せずにセルフリリースしたアーティストとして、これは並外れた実績だ。

「著作権使用料」を巡る闘いの舞台裏

ただ問題は、リル・カンボという人物が実在していないことだった。そして「Kid Carti」という曲は、ラッパーのプレイボーイ・カーティの未発表曲「Kid Cudi」(以前は「Pissy Pamper」と呼ばれていた)のピッチを変えた音源のリークだったのである。

この曲はプレイボーイ・カーティがしばらく発表をにおわせていて、ライヴで披露するとまで言っていた曲だった。要するにリル・カンボはヴァイラルヒットを飛ばしたアーティストではなく、ただの偽物だった、というわけである。

しかも、アーティストによる公式リークではない。それにもかかわらず、Spotifyに4月19日にアップロードされてから膨大な再生数を稼ぎ、米国のSpotifyのヴァイラルトップ50で1位に輝いた。

配信サーヴィスに蔓延する“偽物”たち

この人物にまつわるメタデータを見ると、次のような情報が見えてくる。「Kid Carti」は、リル・カンボによって作曲・演奏された楽曲としてSpotifyに登録されており、配信登録を代行するディストリビューターのDistrokidを通じてSpotifyにアップロードされていた。

なお、スポティファイは昨年、Distrokidの株式の一部を取得している。リル・カンボのSpotifyのプロフィールに公開されているほかの曲は、「Diamonds Real」と「Made It Back」のみで、これらはかつてリークされたラッパーのリル・ウージー・ヴァートの楽曲だった。

リル・カンボのプロフィールにあった「Fans Also Like(ファンならこれもお気に入り)」のタブを見れば、さらに多くのなりすましが存在していることがわかる。そのうちのふたりは、UnocartiとUnocompacといった名で、プレイボーイ・カーティのプレス向け写真を使用している。

こうした偽物のプロフィールすべてはSpotifyによって「認証」されており、リル・カンボという同一人物によって運用されているようだった。UnocartiとUnocompacのプロフィールでも、やはり以前にリークされた楽曲を公開しており、その大半はDistrokidがディストリビューターになっている。ここに出てくるアーティスト名を「Apple Music」で検索しても同様のリークがあり、これもやはりDistrokid経由で配信されていた。

1/2ページ

最終更新:9/1(日) 12:11
WIRED.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事