ここから本文です

インターフェースが進化するほど、わたしたちは「巨大なシステム」に組み込まれていく

9/3(火) 12:31配信

WIRED.jp

デジタル機器のインターフェースが進化するに従って、わたしたちは新たなリテラシーを習得し、デヴァイスは使いやすく便利になる。一方で、日々の動作は巨大テクノロジー企業の思惑によって規定されていくだろう。その結果、わたしたちの体や思考には思いも寄らない影響が及び、企業の「知識とデータ」という巨大なシステムに組み込まれてしまうのではないか──。ユーザーの「動作」までGAFAが握る現状に、米国の専門家が警鐘を鳴らす。

ジェスチャーを決めるのは誰か?

もうじき、スマートフォンのボタンを二度と押さなくなる日がやってくるだろう。グーグルの次期Android OS「Android 10」のソフトウェアコードがリークされており、「戻る」ボタンの廃止が予想されている。アップルはすでに2017年の「iPhone X」で「ホーム」ボタンをなくしている。LGエレクトロニクスの最新スマートフォンは、デヴァイスに一切触れずに操作することだって可能だ。

タッチ操作やモーションコントロールといった触覚分野のイノヴェイションが、次々と熱狂の渦を巻き起こしている。テクノロジーの存在をユーザーに感じさせないようにするインターフェイスも、毎月のように発表されている。ユーザーの物理的な体と仮想世界とのギャップを埋めることで、体験をより自然なものに近づけようとしているのだ。

これを実現するために、モーションコントローラーを用いた任天堂の家庭用ゲーム機「Wii」から、ジェスチャーによる入力デヴァイス「Leap Motion」まで、過去10年にわたって多くのインターフェイスが市場に投入されてきた。そのなかでも、スマートフォンは特に日常に浸透しており、物理的な存在が最も“見えない”存在だと言えるだろう。

「目に見えない」テクノロジーの影響力

ユビキタスコンピューティングの父として知られるマーク・ワイザーは、次のように語っている。

「優れたツールとは、目に見えないツールである。目に見えないということは、ユーザーの意識にツールの存在が入り込んでこない。つまり、ツールではなくタスクに集中できるのだ」

この考えには大きなフィクションが含まれている。テクノロジーが、わたしたちの体に何も変化を及ぼさないという考え方は、幻想にすぎないのだ。

これらのツールは、たとえ意識に入り込んでこなくても、わたしたちへの影響力はもち続ける。GAFAによって設計されたインターフェイスは、ダイナミックな企業データシステムにおける効率的な“歯車”になるよう、わたしたちの体を訓練するのだ。スワイプやタップ、ジェスチャーを行なうごとに、わたしたちは新しい知識を擦り込まれていく。

テクノロジーはわたしたちの動作を「規定」し、「拘束」もする。カフェでノートパソコンに向かっているときに視線を上げれば、似たようなことをしている人たちが目に入るだろう。誰もが前かがみの姿勢で画面を凝視し、指先を動かしてタイピングしている。

テクノロジーとは単なる「物体」ではない。この時間軸と空間において、わたしたちの体を統率するアーキテクチャーの一部でもあるのだ。

1/2ページ

最終更新:9/3(火) 12:31
WIRED.jp

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事