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「痛み」はテクノロジーで客観的に評価できるのか? オピオイドの適切な処方に向けた取り組み

9/3(火) 12:40配信

WIRED.jp

米国で社会問題となっているオピオイド(麻薬系鎮痛剤)への依存。正しい処方のために研究が進められているのが、痛みを適切に評価する手法だ。テクノロジーによって痛みを「客観的に」評価する手法の開発が期待される一方で、こうした技術は人がもつ「バイアス」を増幅させる危険性も指摘されている。

厄介なのは医師がもつ先入観

痛みを感じたときの表情は、人それぞれだ。綿密な観察眼で知られるチャールズ・ダーウィンは、いち早くこの点に気づいていた。彼の著書『人及び動物の表情について』には、次のような記述がある。

「口は固く閉じられることもあるが、口元が引きつることも多い。目を恐れと驚きが混じったように大きく見開いたり、眉を強く寄せることもある」

さらに痛みの感じ方も、表情と同じくらいばらばらだ。痛みへの耐性は、遺伝や人生経験によって左右される。ある人にとっては激痛でも、ほかの人にとっては多少の不快感でしかないことだってあるのだ。

こうした曖昧さが「痛みの評価」に関する科学の不正確さの原因となり、それが患者の苛立ちにもつながっている。医師の判断が、必ずしも患者本人が感じる痛みの大きさと釣り合わうわけではない。痛みの原因になるものが何もないと診断されることもあるくらいだ。そのような診断が下ったとき、患者の多くはセカンドオピニオンをほかの医師ではなく、テクノロジーに求めるようになっている。

痛みの評価に求められる客観性

日々感じる痛みを記録したり、トラッキングしたりするアプリは多い。どれも慢性痛を抱える患者に向けて「痛みの傾向を知ろう」と宣伝されたものだ。なかには、痛みの強さを1~10の尺度で記録する代わりに、アニメーションで表現するアプリもある。視覚的メタファーを利用することで、痛みを表現・説明しやすくするのが狙いだ。

こうしたアプリやサーヴィスをはじめ、痛みの評価にテクノロジーを利用する研究、あるいは痛みの研究全般においてよく目にするワードが「客観性」である。いかにもシリコンヴァレー的な概念だ。何かから主観性を排除し、少なくとも表面上は偏りのないデータドリヴンなテクノロジーに置き換える。そのあと必然的に登場するのは、顔認識、機械学習、ブロックチェーンといったバズワードである。

しかし、これは単なるディスラプション(破壊的創造)ではない。「痛みという経験に客観性を導入しよう」というこの呼びかけは、鎮痛作用のある医療用麻薬であるオピオイド過剰処方抑制の一環として、米国立衛生研究所(NIH)が実施しているものなのだ。

データとテクノロジーを組み合わせれば、人類がこれまで何千年もできずにいたことが可能になるとテック業界は謳う。つまり、他者の痛みを正確に知ることだ。

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最終更新:9/3(火) 12:40
WIRED.jp

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