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『なつぞら』中川大志、『まんぷく』長谷川博己、『半分、青い。』中村倫也ら“朝ドラ相手役”が飛躍

9/4(水) 6:04配信

リアルサウンド

 朝ドラ100作目の『なつぞら』(NHK総合)には、歴代ヒロインが数多く出演し、主人公であるなつ(広瀬すず)を支えている。ヒロインの数だけ人生があり、そのヒロインの生涯に影響を与える男性キャストが魅力的であることも朝ドラの見どころの一つとなっている。

【写真】『半分、青い。』マアくんの演技が話題となった中村倫也

 人気のイケメン俳優という枠をこえて、時代が求める理想の男性像を的確に捉え、表現していくヒロインの相手役。翌年のブレイクぶりは目を見張るものがあり、作品が国民的俳優へと上り詰めるきっかけになることもある。ここ最近の作品を振り返ると、その傾向は顕著でヒロインの相手役への注目度は増すばかりだ。

●『ひよっこ』竹内涼真、磯村勇斗
 一時期、朝ドラを見ると、仮面ライダーをはじめ、スーパー戦隊シリーズのヒーローがヒロインを囲んでいると話題になったことがある。たとえば第96作『ひよっこ』(2017年4月~9月)では『仮面ライダードライブ』(テレビ朝日系)で主演を務めた竹内涼真が島谷純一郎役、『仮面ライダーゴースト』(テレビ朝日系)に出演した磯村勇斗がヒロインの谷田部みね子(有村架純)の結婚相手である前田秀俊を演じた。両者とも子供の心をつかむ爽やかさがあると同時に、視聴者からの熱視線を浴びた。

 島谷純一郎役の竹内涼真に関しては、みね子との淡く切ない恋愛期間が短かったこともあり、理想の恋人としての印象を強く残した。『ひよっこ』に出演した2017年はその後、『過保護のカホコ』(日本テレビ系)でヒロイン・カホコの相手役麦野初を演じ、『陸王』(TBS系)に期待される陸上選手の茂木裕人として立て続けにドラマ出演。同年4月29日公開の映画『帝一の國』では、朝ドラで見せた好青年役とはまた違う、明朗快活で非の打ち所がない大鷹弾を演じた。翌年は話題のドラマ『ブラックペアン』(TBS系)で研修医の世良雅志を演じ、大ヒット漫画を映画化した『センセイ君主』で主演を果たした。

 一方、ヒロインのみね子がウェイトレスとして働く“すずふり亭”のコックで、結婚相手となった前田秀俊役の磯村勇斗も朝ドラの翌年はドラマに休む間もなく出演。『デイジー・ラック』(NHK総合)で出版社勤務の甘めの好青年、周防貴大を演じ、『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)では鈴木大貴(中島裕翔)の悪友でずる賢いトラブルメーカーの谷元遊星役として出演。同時期放送の『今日から俺は!!』(日本テレビ系)では主人公の三橋(賀来賢人)と敵対関係にある卑劣で危険な男、相良猛を演じ、第14回コンフィデンスアワードドラマ新人賞を受賞している。

 話題作に途切れることなく出演するという以上に、その都度新しい魅力を見せられるか実力が問われるのが俳優業。

 磯村勇斗は『きのう何食べた?』(テレビ東京系)で原作ファンからもジルベール(井上航)役を絶賛されるなど、確実に演技の幅を広げてきている。

●『わろてんか』松坂桃李
 第97作『わろてんか』(2017年10月~3月)でヒロインてん(葵わかな)の相手役、北村藤吉を演じた松坂桃李は、第86作『梅ちゃん先生』(2012年4月~9月)でもヒロイン梅子(堀北真希)の幼なじみで結婚相手の安岡信郎で出演している。ヒロインの人生において、幼い頃に出会って長い時間をかけて信頼関係を築いていくという役柄だ。

 そして、朝のドラマに相応しい清潔感と誠実さとを体現したその反動からか、翌年は自身初のダークヒーローに挑戦。『不能犯』で、立証不可能な方法でターゲットを確実に殺す宇相吹正を演じた。同年、舞台化に続き映画『娼年』でも、主人公の森中領をまさに体当たりで熱演。

 映画『孤狼の血』では暴力団抗争に巻き込まれる新人刑事の日岡秀一を演じ、「第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞」「第61回ブルーリボン賞助演男優賞」「第40回ヨコハマ映画祭 助演男優賞」「おおさかシネマフェスティバル2018 助演男優賞」「第28回東京スポーツ映画大賞 助演男優賞」を受賞するなど高い評価を得た。

 朝ドラ出演は、幅広い年齢層の視聴者から注目されて新しいファンを獲得するだけでなく、新境地を開くきっかけにもなる。松坂桃季の活躍はそれを証明してくれている。

●『半分、青い。』佐藤健、中村倫也
 そして、第98作の『半分、青い。』(2018年4月~9月)に関しては朝ドラとして異色で、厳しい意見がSNSなどに多く発信されることもある作品だった。挫折を繰り返すヒロイン鈴愛(永野芽郁)が突飛な言動で周囲を振り回すのに対して、同じ日に生まれた運命の相手である萩尾律(佐藤健)は繊細で思慮深い。幼なじみの鈴愛がマグマ大使の笛で呼べば来てくれるヒーローのような存在だ。

 多くの朝ドラは、ヒロインの成長の物語。困難を乗り越えるたびに強さと賢さを手に入れる過程を視聴者が思わず共感し応援したくなるものなのだが、鈴愛には歴代のヒロインとは異なる“タフさ”があった。鈴愛が異なる挑戦をするたびに、行く先々に存在する相手役がこの作品の見どころとなっていた。

 律の大学時代の友人で女子ウケ抜群の朝井正人を演じた中村倫也、鈴愛と結婚したクリエイターの森山涼次役の間宮祥太朗も本作をきっかけにさらなる飛躍を遂げた。

 中村倫也は、今期で最も注目されるドラマ『凪のお暇』(TBS系)の安良城ゴン役で出演。『半分、青い。』で演じた正人にも通じる魔性の魅力を振りまいているが、2018年に「第5回Yahoo! 検索大賞俳優部門」に選ばれたことからも分かるように、ブレイクのきっかけは朝ドラといっても過言ではない。

 また、間宮祥太朗はどこか憎めない、愛されキャラの森山涼次の印象を強く残し、ドラマやCMに引っ張りだこ。現在放送中のドラマ『べしゃり暮らし』(テレビ朝日系)では主人公の上妻圭右を演じている。

●『まんぷく』長谷川博己
 第99作『まんぷく』のヒロインの相手役、長谷川博己の活躍は言わずもがな。ヒロインの福子(安藤サクラ)とともに、インスタントラーメンの開発に情熱を注いだ発明家・立花萬平を演じきった。

 そして、2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』では主演を務める。“ひょうきん”とも言えた萬平さんから、織田信長を討つこととなる明智光秀へと大きくイメージチェンジとなるだけに、どう演じきるのか今から楽しみで仕方がない。

●『なつぞら』吉沢亮、中川大志
 そして、残りあと4週となった第100作目の『なつぞら』。第23週の放送のタイトル「なつよ、天陽くんにさよならを」とあるように、いよいよ山田天陽役の吉沢亮のクライマックスシーンが第134話で放送された。天陽はヒロインであるなつ(広瀬すず)の目標の人であり、アニメーターになるという夢を誰よりも応援し、静かに優しく見守ってくれた運命の人でもある。

 社会の価値観に左右されることなく、自分の言葉を語り、自分の描きたい絵を描いて、農業に真剣に取り組む天陽を魅力的に演じた吉沢亮。第134話で描かれた天陽の最期は、朝ドラ史に残る神々しささえ感じさせる名シーンであった。

 また、『なつぞら』でヒロインなつと結婚した坂場一久を演じた中川大志も回を重ねるごとに女性からの支持率が急上昇。不器用で信念を曲げない頑固なイッキュウさんが、不器用ながらも家事や育児に奮闘し、ヒロインを真剣に支える姿こそ、現代女性が求める理想の夫像といえるのかもしれない。

 2019年に公開になった映画『坂道のアポロン』『覚悟はいいかそこの女子。』で「第42回日本アカデミー賞 新人俳優賞」を受賞した中川大志。不器用なキャラクターを器用に演じ、丁寧な表現で人物の成長を伺わせるところにも強い意志を感じさせる。役柄としても俳優としても、その成長を見守りたくなるという不思議な力が朝ドラ作品には宿っているようだ。『なつぞら』には、その不思議な力が強く渦巻いているように感じられる。

池沢奈々見

最終更新:9/4(水) 6:04
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