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マイクロプラスティックは飲料水にも入っているが、心配しすぎなくていい(いまのところは)

9/5(木) 12:17配信

WIRED.jp

マイクロプラスティックによる汚染という地球規模の“ホラー”の全貌を、科学者たちが明らかにし始めている。

海に流されたプラスティックゴミは「食塩」に混じって食卓へ

微小なプラスチック粒子であるマイクロプラスティックは、これまでに北極海の氷塊の中など過去に見つかっていなかった場所にも現れ始めた。しかも、これらの粒子は大気中にも浮遊している。わたしたちはマイクロプラスティックを吸い込み、マイクロプラスティックを食べ、プラスティック入りの水を飲んでいる──というわけだ。

これらが人体に与える影響は甚大な可能性がある。だが、あくまで「可能性」だ。問題はマイクロプラスティックの人体への影響が、ほとんどわかっていない点にある。それが世界保健機関(WHO)の頭痛の種であり続けてきた。

そのWHOが8月23日、飲料水中のマイクロプラスティックに関する調査状況を徹底的にまとめた報告書を発表した。その要点を説明しよう。現在の科学の限られた知識によると、マイクロプラスティック入りの水を飲むことで人間の健康が脅かされる証拠はない──というものだ。

「わたしたちが確認したデータでは、人間がマイクロプラスティックを体内に取り込んでいることが示されていました。また、それが消費者に懸念されていることもわかっています」と、WHOのコーディネーターとして報告書の作成に携わったブルース・ゴードンは言う。「わたしたちが世界中の消費者にいちばん伝えたいのは、WHOのアセスメントによるとその健康リスクは低いので、どうか安心してほしいということです」

あらゆる場所に潜むマイクロプラスティック

報告書はマイクロプラスティックが人体に与えうる影響を、より早く深く研究するよう科学界に訴えるとともに、プラスティック汚染を止めるよう世界に呼びかけている。マイクロプラスティックは人間だけでなく、人間の手に届かない地域まで汚染しているからだ。

マイクロプラスティックは海の深いところを潮に乗って浮遊し、わたしたちが食べる魚介類の体内に入っていく。マイクロプラスティック粒子の侵入性は恐ろしく高く、地球から一掃する方法はないのだ。

「まだわかっていないことが膨大にあります」と、ストラスクライド大学の環境汚染科学者デオニー・アレンは言う(アレンはこの報告書の作成には携わっていない)。

人間は日々、恐るべき量のプラスティックを生産している。2015年の生産量はおよそ4億トンで、その量は2025年までに2倍に増えると予想されている。さらにこうして生産されたプラスティックのうち、毎年約800万トンが海中に入っていると推定されるが、研究者たちはその1パーセントしか確認できずにいる。残りはどこかに消えてしまったかのようにも見えるのだ。

マイクロプラスティックは、さまざまな方法で飲料水に入り込む。例えば、靴やタイヤ、そのほかさまざまな物質から放たれた塵は、大気を浮遊して貯水池などの淡水の水源に舞い落ちる。さらに、ここにプラスティックごみも入りこむ。プラスティックごみは太陽光に晒されて脆くなり、時を経てどんどん小さな粒子へと砕けていく。ヨガパンツなどの布地からもマイクロプラスティック繊維が剥がれ落ち、洗濯の排水とともに流れ出ていく。

ただし今回の報告書によると、こうした水は消費者の元に届く前に浄水処理され、ほとんどのマイクロプラスティックは除去されるという。しかし、発展途上国ではすべての人が常にこのような水処理の恩恵を受けられるわけではないことも、同報告書は警告している。また、処理装置がプラスティック製の場合、その装置から供給される水にマイクロプラスティックが入り込む要因となりうるという。

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最終更新:9/5(木) 12:17
WIRED.jp

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