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キャッシュレス、実はシニアも抵抗なし 限定特典も

9/6(金) 7:47配信

NIKKEI STYLE

最近、キャッシュレス決済の手段が多彩になっています。従来のクレジットカードや電子マネーに加え、QRコード決済も各社が競い合うようにサービスを始めたことで利用者にとって選択肢が増えているのは事実でしょう。
ただ世界的にみると日本のキャッシュレス決済の利用はまだまだのようです。2018年の2月に野村総合研究所が調べたデータによれば、16年時点での各国のキャッシュレス化比率は高いところで韓国の96.4%、英国の68.7%といったところから多くの国では50%前後となっていますが、日本の場合は19.8%と先進国の中でも低い水準です。
この理由について日本人は現金信仰が強いという説明をよく聞きます。「若者はともかく、IT(情報技術)を使ったサービスに慣れていない高齢者はなかなか使わないだろう」という声もあります。

■増える高齢者の利用

そんな中、最近ちょっと面白い光景を目にしました。それは歌舞伎座(東京・中央)でのことです。私は年に数回、歌舞伎を見に行くのですが、事前にネットで予約・決済し、時間のあるときに劇場に立ち寄って自動発券機でチケットを受け取るようにしています。今回も歌舞伎座で受け取ろうとしたら、ちょうど開演する1時間ぐらい前だったせいもあって、発券機には多くのお年寄りの方が並んでいました。「これは時間がかかるかな」と思ったのですが、意外だったのは、高齢の方々がいずれもスムーズに端末を操作してかなり速いスピードでチケットを受け取っているのです。結局、予想以上に早くチケットを受け取ることができました。一方、有人の窓口には誰も並んでいません。
そこで私はチケットを受け取るべく一緒に並んでいた高齢のご婦人に「いつもこちらでチケットをお取りになるのですか。失礼ですが操作とかに不安はありませんか」と声をかけてみました。すると彼女の返事はこうでした。「いえね、最初はよくわからなかったけど友達が教えてくれたのよ。そしたらとても便利じゃない? きょうは開演前に来たけど、時間に余裕があるときは、事前に取りに来ることにしてるの。それがまた楽しみなのよね」

このご婦人に限らず、キャッシュレス決済を利用する高齢者は少しずつ増えているようです。19年1月29日付の日本経済新聞朝刊の記事には電子マネーが高齢者に広がっていると書かれていました。70代以上の利用額が直近5年間で9割近く増え、全世代の伸びを大きく上回っているそうです。記事では「高齢の両親に電子マネーを渡す人が増えている」とありましたが、私の50代の友人のなかでもそうした例を何人か知っています。
どうやらキャッシュレス決済に限らず、ITを使ったサービスは高齢者に不向きという発想自体がそもそもステレオタイプなのかもしれません。要は、シニアであっても自分に興味のあることであれば抵抗なく使えるということなのだと思います。実際に私が現役の頃、働いていた証券会社で株式のネット取引の年齢層をみると、最もよく利用しているのは60代というデータが出て驚いたこともありました。

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最終更新:9/6(金) 7:47
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