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「教科書が読めない人」は実はこんなにいる

9/6(金) 5:10配信

東洋経済オンライン

AIの限界と、日本の中高生の多くが中学校の教科書を正確に読めていないことを明らかにした衝撃の書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』。本書の著者、新井紀子氏が研究開発を主導した「リーディングスキルテスト」の結果に注目が集まり、学校現場やビジネスの現場で話題となっている。いったい現場では何が起きているのか?  新井紀子氏の新刊『AIに負けない子どもを育てる』から一部抜粋・編集してお届けする。

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■理不尽かつ不可解な非難の裏側にあるもの

 前著『AIvs.教科書が読めない子どもたち』を出版してから1年半。多くの方から「腑に落ちた」という感想をいただきました。

 まずは、文筆業をされている方たち。「物を書いて世に問うのだから批判されるのは覚悟している。けれども、近年あまりに理不尽かつ不可解な非難が多くて議論にならない。よほど悪意があるのかと思っていたが、この本を読んで、『もしかするとそういう人たちは文章を読めていないのかもしれない』と思い始めた」と言うのです。

 次は学校の先生たちです。小学校では、「算数の文章題を解けない生徒の多くが、『(問題で)何を聞かれているかわかる?』と聞いても答えられない。図にすれば解けるのだろうけど、図にすることができない。だからドリルは満点でも、文章題の答案は真っ白のままという生徒は少なくない。それを読解力と結び付けて考えたことがなかったが、この本を読んで『確かに読解力が足りないんだろう』と思った」と言います。

 私たちが考案した基礎的・汎用的読解力を測るリーディングスキルテスト(RST)には、「同義文判定」という問題群があります。200字に満たない2つの文の意味が同じか、異なるか、二択で選択します。この能力は記述式問題の答え合わせをするうえで欠かせない能力です。例えば、こんな問題です。

・幕府は、1639年、ポルトガル人を追放し、大名には沿岸の警備を命じた。
・1639年、ポルトガル人は追放され、幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。
以上の2文は同じ意味でしょうか。
 もちろん、答えは「異なる」です。けれども、中学生の正答率は57%にとどまりました。この話を、とある自治体の教育委員会でお話ししたとき、多くの委員が「信じられない」という顔をしました。何かの間違いではないか、成績に関係ないテストだからやる気が出なかったのではないか、コンピュータで受検するという形式に慣れていなかっただけではないか、との質問が出ました。

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最終更新:9/6(金) 5:10
東洋経済オンライン

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