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重低音で快走、JR東海「キハ85」が開いた新時代

9/6(金) 6:00配信

東洋経済オンライン

 JR東海は1987年の国鉄民営化に伴い発足して以降、日本の大動脈である東海道新幹線の輸送力増強に積極的な姿勢を見せてきた。2020年春には全列車の最高速度を時速285kmに統一、「のぞみ」の1時間当たりの運行本数を最大12本に増やす予定だ。

【スライドショー】キハ85系はワイドビューの名の通り大きな窓が特徴だ。デザインのモチーフになったものとは?

 新幹線が注目を集めがちだが、高山本線や紀勢本線といった非電化区間を含め、在来線へも新型車両を投入してきた。現在、国鉄時代に製造された車両はほぼ残っていない。

■JR東海が初めて開発した車両

 JR東海が発足して最初に開発した車両が「ひだ」と「南紀」で運用する特急用気動車(ディーゼルカー)「キハ85系」。いまから30年前、「ワイドビュー」の愛称がよく似合う画期的なデザインの車両が、新時代の到来を告げる重低音を響かせて姿を現した。

 キハ85系は1989(平成元)年2月18日、特急「ひだ」の車両としてデビューした。

 それまで名古屋から飛騨・南紀方面の非電化区間を走っていた国鉄時代の特急用車両が老朽化。より多くの観光客に利用してもらうため、新車両には渓谷を縫うようなカーブや勾配がきつい路線での速達性と快適性の両立が求められていた。

 キハ85系には2つの「顔」がある。1つは展望を重視した3次曲面前面窓の先頭車。運転席の上部には「サンルーフ」まで設けてある。もう一方は、ほかの車両と連結して通り抜けができる貫通扉を中央に設けた顔だ。編成の両数を変え、繁閑に応じた柔軟な運用を可能にしている。

■曲面は「栗」をイメージ? 

 デビュー当時、「時代の先端を行く」存在だった特急車両は、発足したばかりのJR東海でどのように生まれたのか。同社在来線部門で車両設計に関わった車両部車両課担当課長、森加久見さんは外観について「高山地区だと栗、南紀方面だと二枚貝とか、曲面になった特産物をデザイン化して先頭の形状が決まったと聞いている」と明かす。

 本来は「自然界と調和する『あたたかさ』と、未来を想像させる『宇宙感覚』」というのがデザインのテーマだそうだ。が、栗や二枚貝に例えられると親しみやすさが一層増すように思える。

 側面には縦95cmの大型曲面ガラスの窓を採用。高山本線沿線の飛水峡や中山七里といった景勝地の車窓を楽しめるようにした。車内は、普通車でもシートピッチが100cmあるリクライニングシートによって快適性を向上させ、座席の床面は通路より1段高くして眺めのよさを確保した。

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最終更新:9/7(土) 8:59
東洋経済オンライン

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