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「飛行機に乗るのは恥だ」─欧州の“環境意識高い系”若者に広がる「フライトシェイム」

9/7(土) 10:00配信

クーリエ・ジャポン

地球温暖化を懸念する人たちが、飛行機ではなく鉄道での移動を選択するようになっている。とくにスウェーデンでは「飛ぶのは恥」を意味する新語まで登場し、ヨーロッパでフライトシェイム運動が拡大中だ。しかし、こうした個々の取り組みが温暖化対策にどれだけの効果をもたらすのか、首をかしげる専門家もいる。
飛行機に飛び乗れば、スウェーデンからオーストリアまで2時間で着いていただろう。

だがヨハン・ヒルムは、その代わりに、鉄道とバス、フェリーを使って、30時間もかかる大がかりな移動をした。

ヨーロッパではこの夏、環境への懸念から飛行機旅行を避ける人が増えている。ヒルムもそのひとりだ。

アイルランドのライアンエアーや、イギリスのイージージェットなどの格安航空会社(LCC)は20年ほど前、わずか20ドルでヨーロッパ内を移動できる航空券を初めて売り出し、域内の旅行事情を大きく変えた。しかし、そうした旅の方法は、かつては開かれた世界の実現と称賛されたが、今では地球規模の問題の一因とみなされつつある。

1回のフライトで排出される乗客1人あたりの排気ガスは、地球に優しい生活を1年間送った効果を帳消しにするほどの量になる。そのことに気付いて動揺した旅行者たちは、親たちが使っていた黄ばんだヨーロッパ鉄道旅行ガイドブックを掘り出してきたり、ウィーンまでの一番便利な夜行列車について情報交換したりしている。

今までのところ、一番大きな変化が起こっているのは、環境意識が高いスウェーデンだ。同国では航空会社の幹部が、航空旅客輸送が減少した原因は、鉄道旅行の増加(この夏は1年前に比べて30%強の増加)だと指摘している。

スウェーデン政府は今月、国鉄への新たな資金投入を発表した。人々が安い飛行機チケットに引かれて飛行機を選んでいた時期、国鉄は費用削減を重ねてきたが、現在では新規車両の導入を計画している。

車は運転しない、食生活はベジタリアン

スウェーデン語で新語も登場した。「フリーグスキャム(flygskam)」(「飛行機に乗ることを恥じる」の意味)という考え方から、一部のスウェーデン人は飛行機で世界を旅してまわるのをためらうようになってきている。

一方、隣国ノルウェーの首相は、プレッシャーを感じている国民を安心させる必要性を感じて、北極圏地域に住む家族に飛行機で会いに行くのを後ろめたく思わなくてよいと発言している。

冒頭に登場したスウェーデン人のヒルムは、31歳のヘルスケアコンサルタント。オーストリアで8日間のハイキング旅行を予定している彼は、日頃から環境に対して責任を持つライフスタイルを心がけていると話す。

「車は運転しないし、食生活はほとんどベジタリアンです。大きな一戸建てではなく、集合住宅に暮らしています」

ヒルムは、自分のフライトが環境に与える影響を計算して驚いたという。「二酸化炭素(CO2)排出量のオンライン計算ツールを使ってみたら、私の排出量の80%は旅行によるものだったんです」

「二度と飛行機に乗らないと言いたいのではありません。乗るべきかどうか、きちんと考えて決めたいのです」

ストックホルムからコペンハーゲンに向かう列車の食堂車で、コーヒーを飲みながらヒルムはそう語った。

ヒルムは飛行機に乗らなかったことで、CO2排出量を80%削減できたというPhoto: Rebecka Uhlin

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最終更新:9/7(土) 11:16
クーリエ・ジャポン

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