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オペラ歌手飛び立て 池田理代子さんが貯金ゼロの理由

9/7(土) 17:12配信

NIKKEI STYLE

「ベルサイユのばら」「オルフェウスの窓」などのヒット作を生み出した人気漫画家でオペラ歌手としても活躍する池田理代子さん(71)は一昨年11月に拠点を東京から熱海に移し、漫画の執筆、歌のレッスン、オペラ制作などに取り組んでいる。「お金を持ってあの世には行けないし、ぜいたくをして暮らすつもりもない」と私財をオペラを上演する費用に注ぎ込み、若い才能の育成に精を出す。そんな池田さんに幼年期からの生い立ちや漫画家を目指した経緯、声楽家への転身、オペラ制作などについて前半・後半の2回に分けて振り返ってもらった。

■退職金で熱海に移住、海沿いのマンション生活

――なぜ拠点を東京から熱海に移したんですか。
「東京・原宿に借りていた自宅兼アトリエのマンションの家賃が大幅に値上がりすることになったためです。引っ越しを検討したんですが、驚いたことに都内で私くらいの年齢の独身女性に新たに部屋を貸してくれるマンションはあまりないですよ。以前から熱海のマンションには別荘のような感覚で小さな部屋を持っていて、ちょうどその同じマンションに3LDKの空き物件が売りに出ていたので、思い切ってそれを購入し、原宿のマンションは引き払うことにしました。海沿いで窓から初島が見える気持ちが良い場所です。熱海にはケア付きマンションなどもあるようですが、自分がそれを買うにはまだ早いですからね」

■若手支援のためオペラ上演、チケット完売でも赤字

――「ベルサイユのばら」「オルフェウスの窓」など漫画のヒット作が多いので印税だけでも悠々自適な生活でしょうね。
「いえいえ、そうでもありません。実は、若手漫画家の頃に設立した自分の事務所に著作権の管理を任せており、私自身は20歳代からずっと給料制なんです。熱海のマンションは事務所の退職金などを使って買いました。私個人はぜいたくな生活には興味がありません。最低限、食べて行くだけで十分だと思っていますから」
「私は若い歌手を支援するためにオペラを上演してきました。オペラの上演にはとてもお金がかかるんです。企業の協賛もなかなかつかないので、せっかくチケットが完売してもどうしても赤字が出てしまう。だから貯金はオペラを上演する費用に使ってしまって、ほとんど残っていません。でも若い才能のために役に立ったとすれば、それはそれでなかなか良いお金の使い方だったなと思っています」
■第二の人生、漫画家から声楽家へ転身した理由
――1995年、47歳で声楽家を目指して東京音楽大学に入学した時は「第二の人生への挑戦」として大きな話題になりましたね。
「40歳を過ぎた頃、更年期障害に悩まされるようになり、自分に残された時間を強く意識するようになったのがきっかけです。音楽は漫画家になる前からやりたかったけど、ずっと諦めていました。でも改めて声楽の先生に相談すると、『楽器ならもう遅いけど、歌ならばまだ間に合う』と言われたんです。声帯だけはきちんと鍛えていれば、死ぬまで衰えないらしい。だから音大で声楽を学んでオペラのソプラノ歌手を目指すことにしました」
「でも少なくとも音大に在学する4年間は漫画を描けなくなります。アシスタントを抱えていたし、生活できなくなるんじゃないかと思い、随分と悩みました。当時、事務所の社長だった妹に相談すると、『会社経営は何とかやっていけるし、給料も出せるから、ぜひ挑戦してみたら』と私の背中を押してくれたんです。そのおかげで音大を受験する決心がつきました。世界的なプリマドンナ、東敦子先生の門下生として指導を受けますが、東先生から『そんな体では歌えませんよ。まずは太りなさい』と言われたので、寝る前に食事するなど涙ぐましい努力をしながら、2年間で体重を45キロから60キロまで増やしました」

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最終更新:9/8(日) 7:47
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