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テレ東・五箇公貴Pが語るテレビの“あるべき姿”「巨大なカタログみたいになっていく」<インタビュー後編>

9/7(土) 8:00配信

ザテレビジョン

「電影少女 -VIDEO GIRL-」シリーズ(2018、19年、テレビ東京ほか)やバーチャルYouTuberドラマ「四月一日さん家の」(2019年、テレビ東京ほか)など、話題のドラマを数多く手掛けてきたテレビ東京プロデューサー・五箇公貴氏にインタビューを実施。

【写真を見る】テレビの今後について熱く語る…

前編では、現在放送中の原田泰造主演のドラマ25「サ道」(毎週金曜夜0:52-1:23、テレビ東京ほか)の裏話などを語ってもらった。

後編では、プロデューサーという仕事を志したきっかけや、今気になっていることなどを聞いた。

■ 今の五箇プロデューサーにつながっているものとは…

――この業界に入ろうと思ったきっかけを教えてください。

僕は若い頃からエンターテインメント業界に行きたいと思っていて、大学も文学部の演劇専修というところでした。お芝居に興味があったので、学生時代には、蜷川幸雄さんの演劇を制作する会社でアルバイトをしたこともあります。

僕が高校生や大学生の頃、フジテレビの深夜番組はすごくエッジが効いていて、いわゆる“サブカル全盛期”だったんです。一番影響を受けたのは、高城剛さんが(監督を)やっていた「バナナチップス・ラヴ」(1991年、フジテレビ)というニューヨークを舞台にしたドラマ。

それを見て、「テレビって自由だな」と思いました。バブルの恩恵を受けた人たちがテレビの中で好き放題やっていて、すごく自由でおしゃれでした。

そういうのを見ていると「やりたいな」と思い始め、外から見ていて一番自由なものができそうなところがテレ東だったんです。フジテレビの深夜ドラマのように、テレビの中で自由に表現することが許されるんだなと思ったことが僕の原点です。

――演劇専修ということですが、当時ご自身が演じることへの興味はありましたか?

最初からありませんでした。裏方に興味があり、プロデューサーをやりたいと思っていましたね。蜷川幸雄さんはもともとアングラな演劇からキャリアをスタートさせてらっしゃるんですが、それを東宝の商業演劇に持ってきたプロデューサー中根さんという方の会社でアルバイトで働いたことがあります。

その時に、アングラだった才能をたくさんの人が見られる商業演劇というフィールドに持ってきて、世に出して商売ができるプロデューサーという仕事は、なんて素敵な仕事なんだろうと思いましたね。

■ 「制約があるということは、それをどう面白がるか」

――先ほど「自由な表現」という話がありましたが、今、テレビドラマや映画に表現の自由がなくなってきていると聞きます。その点に関してはどのようにお考えですか?

「自由のなさ」が何をもって「自由がない」というのかであって、私は表現の幅が狭まるんだったら狭まった中での最大値を見つけることの方が面白いと思っています。表現が難しいんだとしたら別のところを見せ場にしたらいいと。

例えば、木ドラ25「スモーキング」(2018年、テレビ東京)というドラマをNetflixさんと制作した時のことです。「スモーキング」は非社会勢力をターゲットにする殺し屋の話。

入れ墨を剥ぎ、ホルマリン漬けにして殺しの依頼人のところに持っていくというストーリーなので、テレビでどこまで(映像化)できるかということになりますよね。でも、4人の殺し屋は本来なぜ殺し屋という仕事をしているのか、その生きざまを強く描けばいい。

入れ墨を剥いでいるところを5分や10分も見たい人はいないんです。リアルにやっているという見せ方の工夫をすれば、そこ(過激なシーン)を長くやる必要はありません。

「四月一日さん家の」は、最近尖ったものをやっていなかったなと思い、バーチャルYouTuberとドラマを作ると制約はあるけれど、逆に新しいものができるのではないかと思い企画しました。制約があるということは、それをどう面白がるかということを考えればいいのではないかと思います。

■ 今のテレビの在り方とは…

――今、気になっているものはありますか。

「四月一日さん家の」をやってからバーチャルYouTuberはもとよりVR、3DCG表現にすごく可能性を感じています。新しいテクノロジーをどんどん取り入れながら、新しい表現方法を探っていくことに興味がありますね。先日バーチャルYouTuberのユニット・Gems Companyのライブに行ったのですが、すごく良くできていて圧倒されました。リアルにライティングもされているし、本当にそこで踊っているかのように見えるんです。すごい時代だなと思いましたしワクワクしました。

なので、「四月一日さん家の」でもライブをやりたいと考えています。バーチャルYouTuberのライブって歌や踊りはありますけど、お芝居という形の公演は今まであまりないと思うので。

そういう意味でも今はテレビをゴールにせず、放送した後にそれをどう生かしていくかということにすごく興味がありますね。作ったものをどういうふうに広げ、ファンの人たちに喜んでもらうかがテレビのあるべき姿だと思っています。

映画を見た後って、友達とご飯を食べながら「あそこ面白かったよね」と話すのがまた楽しいじゃないですか。われわれがその材料を提供し、個人がどういうふうにこれを使って楽しむか。僕たちはその手助けをするし、その場を提供するという在り方がテレビ番組としての良い在り方だと思います。そしたらビジネスにもなりますよね。

テレビもいくつかのプラットフォームの1つになっている時代です。テレビは、巨大なカタログみたいになっていくと思います。いろんな人が出ていて「この人が面白い」となったら、WEBで見ていく。テレビは仕入れる場所というか。カタログ(=TV)を見て、引っかかったものをWEBで掘っていく時代だと思います。

「四月一日さん家の」だったら、「VTuberってこういうものです」というのをドーンと出して、実際はそれ以外のところでもサービスを提供していく。テレビがテレビだけでやっていたら、カタログを見て実際に物を買うのがWEBでということになってしまいます。

(視聴者の方が)「こういうのがあるんだ」と知って、WEBを見に行ったときにそこも僕らがきちんとフォローしていく。“テレビ離れ”といわれてますが、その表現はざっくりしすぎていると思っていて。テレビの制作力は50年の蓄積がありますし圧倒的だと思っています。

ただ、私たちの業界は今やフットワークが非常に重くなっているということです。会社も大きいので、やろうとしたら時間が掛かる。でも、「小さくてもいいからやっていかないと」という危機感を常に持っていかないと次世代エンタメに抜かれる日も遠くないと思っています。(ザテレビジョン)

最終更新:9/7(土) 8:00
ザテレビジョン

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