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私たちの国って、神様の気まぐれで出来ちゃったっぽい。|落語DE古事記

9/8(日) 6:05配信

幻冬舎plus

桂竹千代 (落語家)

落語家・桂竹千代さんが、不思議がいっぱいの「古事記」を、さらに不思議なテンションで解説している人気連載!

さて、神様中の神様「オオクニヌシ」のもとで、次々国ができていくのですが、その国の生み方が、現代人にとったら「ほんとに、そんな感じでいいの?」的な……。
いったいどんな感じなのか、どうぞお楽しみください。*   *   *

第15話「B型かよ」

オオクニヌシが国作り&子作りをしていると、海の彼方より人影が現れます。

その神はガガイモ(植物)で作った船に乗り、蛾の皮を丸剥ぎにして作った衣服を着ていました(どんな服? 流行り?)。 

 

オオクニヌシ「えーっと……あなた誰ですか?」

謎の男「……」

オオクニヌシ「あの……聞こえてます?」

謎の男「……」

オオクニヌシ「いや、てんてんてんじゃなくてさ」

謎の男「……」

オオクニヌシ「ダメだこりゃ!」

 

するとそばにいたヒキガエルが、教えます。

 

ヒキガエル「その神の正体はカカシが知ってるゲロ!」

オオクニヌシ「ありがとうカエルくん!」

ヒキガエル「あたしメスなんだけど!」

オオクニヌシ「ごめん! 見た目じゃわからないから」

ヒキガエル「鳴き声が全然違うでしょ? メスはゲロゲーロゲロゲーロ! オスはゲロゲーロゲロゲーロ!」

オオクニヌシ「……一緒じゃない?」

ヒキガエル「違うよ! メスはゲロゲーロゲロゲーロ! オスはゲロゲーロゲロゲーロ!」

オオクニヌシ「……わからない」

ヒキガエル「もう! 青空球児好児師匠に怒られろゲロ~!」

 

てなわけで、オオクニヌシはカカシ(畑にある動物除けのアレね)に尋ねます。この世界は、動物でも作り物でも、何でも喋れるワンダーランドなのです!

 

カカシ「そいつはね、カミムスビさんのせがれの少名彦那神(スクナビコナノカミ。以下スクナビコナ)だーよ」

 

カミムスビノカミ、覚えてますでしょうか? 一番冒頭に出てきた「造化三神」の1柱です(第2話参照。お久しぶり)。そのカミムスビの子供が、この神様の正体だというわけです(てことは先輩か? 敬語使うべき?)。

オオクニヌシは、早速カミムスビに聞いてみます(えっ!? 時代が全然違うと思うけど会えちゃうの? って意見はやめてね!)

 

オオクニヌシ「カミムスビさんの子供ってヤツが来てるんですけど……」

カミムスビ「間違いなく、ワタシの子だ。ワタシの手の指の間から生まれた子だ」

オオクニヌシ「手の間からって……手垢?」

カミムスビ「そーゆーわけなんで、オオクニヌシ、スクナビコナと兄弟になって国を作りなよ」

オオクニヌシ「えー!? 全然知らないヤツといきなり兄弟なんてなれないですよー! てか、こいつ無口すぎるし! イヤです!」

カミムスビ「いいから兄弟になれ! 生まれた時は別々かもしれないが……死ぬ時も別々の仲になれ!」

オオクニヌシ「いやそれ当たり前の仲じゃないすか! 古典落語に出てくる、はっつぁんとくまさんの関係じゃないんですから!(丁寧なツッコミ)」

 

こうして無理矢理に兄弟となったオオクニヌシ&スクナビコナのコンビ。ここから2柱で国を作り上げていきます。

 

スクナビコナは、温泉をたくさん作ったことから温泉の神様でもあります。

全国各地の温泉地にある温泉神社の祭神は、スクナビコナ。無口だけど開拓の神なのです。

ちなみに、ボクは温泉が大好きで「温泉ソムリエ」の資格を持ってます。

温泉ソムリエはすごい資格なんです。なんと4時間講義受けると……もれなく取れます(簡単!)。

温泉だけに「ゆ(湯)~だけ」って資格です。

……これはお湯に流してください。

 

順調に国造りは進むのですが……、スクナビコナは飽きたのか、まだ途中なのに、さっさと自分のところへ帰ってしまいます。

 

オオクニヌシ「えー! またひとりー! アイツ、突然来て突然いなくなって気まぐれすぎんだろ! 振り回しやがってー! アイツ絶対B型だろー!(僕はそんなB型の人が好きです)」

 

と嘆いていると、また海の彼方から謎の男が……。

 

謎の男2「おーい」

オオクニヌシ「おっ、今度はちゃんとしゃべってくれそうなやつ来た」

謎の男2「おれをとりあえず祀ってよー。祀れば国おさまるよー」

オオクニヌシ「いやあんた誰ー!? 知らないヤツいきなり祀れるかい!」

謎の男2「まつらないと血祭りよー」

オオクニヌシ「こわっ! まつりゃいんでしょ! くそー、どいつもこいつも理不尽だー」

 

こうして奈良県三輪山に鎮座したのが、大物主命(オオモノヌシノミコト。以下オオモノヌシ)です。

三輪山麓の大神神社には本殿がなく、山自体がご神体という神社の最古形です。

三輪山には古来から蛇が多く生息しているそうで、オオモノヌシは蛇の神様と言われております。

なので大神神社には、蛇の好きな「卵」をお供えして参拝するのが通例となっております。

三輪山にもオモシロ伝承がたくさんあるんですが、それはまた別の機会にさせて頂きます(もったいぶりやがって!)。

とにかくオオクニヌシは、言われた通りにオオモノヌシを祀ります。そして国作り終了~。国が完成します。

さあ、これで平穏に暮らせるかと思いきや……。


■桂竹千代(落語家)
 
落語家。千葉県旭市出身。1987年3月17日生まれ。2005年千葉県立匝瑳高校卒業。2009年明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。2011年明治大学大学院文学研究科古代日本文学専攻修士課程修了。元ニュースタッフエージェンシー所属漫才師、ゴーギャン職人。2011年7月、桂竹丸に入門、前座「竹のこ」。2015年9月、二ツ目昇進、「竹千代」。2019年3月、第18回さがみはら若手落語家選手権優勝。新宿末広亭や浅草演芸ホールなどの寄席を中心に、全国各地で落語会に出演。その他、イベント・結婚式司会、温泉ツアーガイド、古代史講座、大学講師、社会教育講演など幅広く活躍。旭市観光大使も務める。エンタの神様(日本テレビ)、爆笑オンエアバトル(NHK)、メレンゲの気持ち(日本テレビ)、グリコポッキーCM、どうする東京(MXTV)、50ボイス(NHK)、BS笑点特大号(BS日本テレビ)、ミッドナイト寄席ゴールデン(BS12)、夕やけミッドナイト寄席(BS12)SHARP・アクオス落語(全国の家電量販店にて放映)、日曜バラエティー・レギュラー出演(NHKラジオ第一)2018年4月~2019年3月、桂竹千代のJAGARAKU(FM帯広)2018年4月~2019年3月、OH! HAPPY MORNING「Today’s Focus」(JFN)※古代史専門家としてニュースコメント、春風亭昇太のピローな噺(dtvチャンネル)、竹千代の風土記(CS寄席チャンネル)などに出演。
 
 
 
 

最終更新:9/8(日) 6:05
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